隠しルート
本日【9月1日】4回目の更新です。
よろしくお願いいたします。
ん……?アデル……??
「……になって!!……になって!!」
「ん……。んん……。」
「目をお覚ましになって!!」
目を開けると、私は現実に引き戻された。
そう。乙女ゲームの「ヴィヨレ」に転生したと言う現実に。
「夢、じゃない……。」
嘘でしょ。
ヤンデレ男も、彼氏探ししなきゃいけないのも、全部ほんと……?
私は絶望する。
どうやら本当のようだ。
人間、一度希望を見せられた方が絶望しやすいというのは。
「まじか……。」
「さっき箱を開けたら急に気をお失いになったから、アデル様と2人でびっくりしましたのよ!!」
リリー、心配してくれたんだ。優しいな。
「心配してくださったんですね。ありがとうございます。」
「なっ……。まだ起きたばかりなのだから、ご自分のことをお考えになって。」
リリーはそっぽを向きながら、頬を赤く染める。照れ屋さんめ。
照れているリリーを眺めるのは程々にして、気になっていたことを聞く。
「……。さっきの箱はどうなったのですか?」
「……先ほどの箱?実は、お祖父様の遺した箱は、別のものでしたの。あの箱には何の役にも立たない本が入っているだけでしたわ。」
でも、さっきその本を見たら気絶したんだけど……。
何となく気になるな。
「私もその本、読ませていただいても……?」
「べっ別によろしいわ?ですけど、本当に何もありませんわよ。」
「それでも結構です。」
そして私は再び、本を手に取った。
ペラペラとページをめくる。
すると、ページの中に衝撃的な一文があった。
〜【アチーブメント獲得】『囚われのヴィヨレ』 隠し要素が解放されました。〜
隠し要素……?
気になりページを読み進める。
【隠し要素:クロスオーバーの証拠】
解放条件:『囚われのヴィヨレ』で遊んで通算54回目に「ハーレム王子‼︎〜貴族、召使、教育係……。女の子に囲まれちゃってさあ大変〜」に登場した泉を訪れる。
解放条件むずっ!!!
……じゃなくて!!
隠し要素ってどういうこと……?
私は考えを巡らせる。
___『囚われのヴィヨレ』は、通常はヘレヨン王子の城の外へは出られない。
『囚われのヴィヨレ』上でできることは全てやり尽くしたからこそ分かる。
ゲームの使用上これ以上進めない場所や調べられない物なども多数あったが、できるところは全て探索したし、ヘレヨンに殺されるルートも、ゴールインするルートも、全てやった。
ヘレヨンに誘拐されてから主人公が城の外に出るエピソードは、存在しないのだ。
私はさらに考える。
でも、でも!!
それはあくまで通常モードの話だったら?
『囚われのヴィヨレ』を何回プレイしたか覚えていないが、このアチーブメントが本当だとすると、『囚われのヴィヨレ』には一定回数プレイしないと解放されない隠し要素があることになる。
今回の件でいえば54回目。
付け加えて言うなら、この隠し要素の名前は「クロスオーバーの証拠」。
「クロスオーバーって、異なる作品同士が同じ世界線に揃うことだよね……。」
解放条件に書かれた文面を見るに、これはH.Kさんの『囚われのヴィヨレ』と「ハーレム王子‼︎(以下略)」のクロスオーバーだ。
「『囚われのヴィヨレ』と「ハーレム王子‼︎」の世界が繋がってる……?」
ここ数日『囚われのヴィヨレ』にはないストーリーばかりだ。
特に、リリーとアデルに関するエピソードは通常の『囚われのヴィヨレ』には一切出てこなかった。
でも、全部「ハーレム王子‼︎」のエピソードだとしたら……?
54回プレイすることによって変化の生じた『囚われのヴィヨレ』と、「ハーレム王子‼︎」が地続きの世界線になって、そこに私が偶然転がり込んだとしたら……?
辻褄が合う!!!
私は衝撃的な事実に身震いした。
それに、隠し要素の名前も気になる。
「クロスオーバーの証拠」という名前だが、まるでクロスオーバー自体は既にしていたという口振りだ。
さっきの箱を開けた瞬間からクロスオーバーされたなら、隠し要素の名前を「クロスオーバーの証拠」とはしないだろう。
私は頭の中で、今までの事柄を時系列順に並べた。
そして、全てをつなげた結果、今までの筋書きが分かったのだ。
現代で大学生をしていた時に、私が『囚われのヴィヨレ』を53回プレイする。
↓
何かをきっかけに『囚われのヴィヨレ』のヴィヨレに転生(今回が通算プレイ回数54回目)
↓
54回目に入った瞬間「『ハーレム王子‼︎』とのクロスオーバー設定」が解放
↓
「ハーレム王子‼︎」と『囚われのヴィヨレ』の世界線がクロスオーバーにより地続きに
↓
結果、『囚われのヴィヨレ』出身の私が知らず知らずのうちに「ハーレム王子‼︎」の世界に迷い込み、リリーやアデルとのエピソードが生まれた。
つまり、『囚われのヴィヨレ』は54回目という節目を迎えたことにより、特殊ルートへ進んでいる。
『囚われのヴィヨレ』には主要キャラがヘレヨンとヴィヨレくらいしかいなかったが、54回目の今、ゲームに変化が起きて、アデルやリリーなどの他の作品のキャラクターが登場している。
「ハーレム王子‼︎」の人物が登場人物として加わったことにより、味方も多くなったと言える。
リリーが怪訝そうな顔をしているのにしばらく気がつかなかったくらい、私は目を輝かせていた。




