箱の中身
本日【9月1日】2回目の更新です。
よろしくお願いいたします。
私、リリーに嫉妬してる!?
何で?私彼氏いるのに!?何で……!!
罪悪感と嫉妬の感情でぐちゃぐちゃになって、戸惑いが止まらない。
しかし、その戸惑いはアデルによってかき消された。
「……。ところで、さっきの箱はどうなったんだ。」
「結局、まだ窪みの中ですわ。もう一度取りに行くのも恐ろしくて。」
「なら、俺が行こう。」
「そんな……!!アデル様が溺れてしまいますわ……!!」
「大丈夫だ。だが、もし本当に溺れたら、その時はお前達が助けてくれ。」
冗談混じりにアデルが笑う。
ドキッ
思わず胸が高鳴る。
思えば、アデルが笑ったところを見たのは初めてかもしれない。
「……さっき気になったことがある。もう一度行って確かめたい。」
そう言ってアデルは、枯れ果てた泉の方にもう一度歩き出した。
ついて行くと、アデルは箱を観察していた。
「さっきお前達が箱を触っていた時に思っていたんだが……この箱、二重底か。」
「何でそう思いますの?」
「……。さっき見た時、妙に箱の中が盛り上がっていた。」
アデルはさらに箱を観察する。
そしてしばらく考え込んだ後、
ぐいっ
どさっ!!
いきなり力を入れ、地面にへばりついていた箱を引っぺがしたのだ。
「まあ!この箱地面から外れるんですのね!!」
リリーが感心する。
「……。さっきの水で地面が柔らかくなった。だから取れやすくなったのかもしれないな。」
そう言いながらアデルは、ポンと箱の底を外した。
すると……。鍵が出てきた。
「アデル!!これ、箱についてた鍵穴の鍵じゃない!?」
私が興奮気味に言うと、アデルは箱の鍵に手をかけた。
___さっきは、箱を開ける時鍵を使わず無理やり開けた。
その結果、大量の水が放出されて溺れかけた。
しかし、今は鍵を使って箱を開ける。
私達は生唾を飲み込みながら見守った。
水は……。出なかった。
「やりましたわ!!」
「ですね!!」
思わず、リリーと私は手を取り合って喜ぶ。
私達は、箱の中身を覗き込んだ。
中には紫色の表紙の、一冊の本が入っていた。
本を開くと……。
「きゃっ!!!」
本の中から強い光が放たれ、私はその光に包み込まれた……。




