整理のつかない感情
本日【9月1日】1回目の更新です。
よろしくお願いいたします。
やばい。助けないと!
しかし、そう思った私より先に動いたのはアデルだった。
「リリー、これに捕まれ!!」
アデルは自らがつけていたマントを、水面に向かって投げた。
「!?」
リリーは一瞬目を見開いた。そして、アデルの長いマントにしがみついた。
「ぐっ……」
アデルが一生懸命引き上げる。
「私も手伝う!!!」
私も一緒にマントを手繰り寄せると、リリーが段々と岸へ近づいてきた。
そして……。
近づいたリリーを、アデルが抱き上げた。
リリーの身にまとっていた水滴が、きらきらと宝石のように光る。
「……大丈夫か?」
まっすぐリリーを見つめて、アデルが言う。
「……!!い、いえ!!」
リリーは一瞬戸惑った後、頰を赤く染めた。
そしてリリーがいなくなると、泉はさっきのが嘘だったかのように、水が引いていった。
アデルは表情ひとつ変えず、
「……あまり動かない方がいい。俺が見ているから、2人ともそこで休もう。」
と言って、泉の近くにある木陰を指差した。
___それから。私達は木陰で休んだ。
しばらくはさっきの苦しさが残っていたが、時間が経つといつもの状態に戻っていった。
リリーを除いて。
「アデル様……。もう少し、くっついていてもよろしくて?」
あれからリリーはアデルにべったりだ。
「……。回復するまでな。」
そんなリリーに、アデルも満更でもなさそうだ。
「あっあの……!ローザスお祖父様の謎が解けましたら、2人でお出かけしませんこと?行きたいお店がありますの!!」
そう言って目を輝かせるリリー。
「……そのうちな。」
なんともなげにアデルも応じる。
___ズキッ。
そんな2人のやりとりに、突然胸が痛みだした。
___何で?私には彼氏がいるのに。2人がいちゃいちゃしてたって、別になんてことないじゃない。
そう自分に言い聞かせるが、痛みが止まらない。
何でだろう。
胸が重くて、苦しい。
私はこのモヤモヤとした気持ちが分からないほど、純粋じゃない。
___もしかして。
私、リリーに嫉妬してる!?




