思わぬトラブル
本日【8月31日】1回目の更新です。
よろしくお願いします。
そんな期待を抱きながら、私は2人と共に泉へと向かった。
___のですが。
「えっと。私達、泉を見に来たんだよね……?」
確かに、「泉」っぽいもの……はある。あるんだけど。
「……。完全に干上がってますわね。」
「……。そうだね。」
かつて「泉」だったであろうその場所は、干涸びていた。そして、まあまあ深そうな大きい窪みだけが残っていた。
そして、周辺は綺麗な木々が生い茂る森だったため、窪みが余計に奇妙さを際立たせていた。
「お前、ここで遊んでいたのか。砂遊びができそうだな。」
「アデル。昔は水があったと思うよ。」
「……そうなのか!?」
アデルが驚く。昔の泉が今の状態と同じだと思ってたんだね。
「はあ……。」
リリーがわかりやすくため息をつく。
「本当に、アデル様と話していると埒があきませんわ。あなたは窪みの外でお待ちになって。」
アデルは窪みの外で待つことになった。
私達は窪みの中を探索した。
少し深くて下手をすれば怪我をしてしまいそうなので、窪みの中を慎重に歩く。
「ここ数年はさっぱり訪れませんでしたけど……。こんなになっていたなんて。」
探索中リリーが悲しそうに言っていたが、私の立場上リリーに悲しくなられると困る。
あくまで私は、リリーを楽しませなければならないのだから。
「……。まあ、時が経てばそういうこともあるでしょう。とりあえず、泉を探索しませんか。」
そう励ましつつ私はリリーと窪みの中をさまよう。
すると、窪みの中心に明らかに盛り上がっている所があるのを見つけた。
「ここ、怪しいですわね。」
私達はその窪みを掘った。
すると……。
巨大な箱が出てきたのだ。
古めかしい宝箱のような見た目で、なぜか地面に固定されていて離れない。
「この箱……もしかして……。」
「おじいさまの箱ですわね。でも……。鍵がないと開かなそうですわね。」
土で汚れてはいたが、確かにそこには鍵穴があった。
しかし。
「あれ?でもこれ、力を入れたら開きそうですわよ。」
鍵がなくてもいけそうだった。
私達はおそるおそる、箱を開ける。
次の瞬間。
ザーーーーーーーーーーッッ
池の窪みに信じられない量の水が流れ込んできたのだ。
「あ゛っ……ごぼっ……」
罠だ。きっと、ローザス様が遺言を違う人に渡さないよう、無理やり箱を開けた者に向けて仕掛けていたのだ。
リリーも私はつい水を飲み込む。水はみるみる窪みを満たし、私達は息ができなくなった。
そして、なぜか渦潮のような水流ができていた。
飲み込まれる。しかし……
「ごぼっ……ごぼぼっ……」
私は運良く、泉の周辺にあった森の木の枝に捕まり、這い上がることができた。
「ゲホッゲホッ」
苦しい。
しかし、息を整えた束の間、
「たすけ……ごほっ」
リリーが今にも水中に飲み込まれそうになっていた。
「リリーっっ!!」
やばい。助けないと。




