勝算なし
本当にすみません。
8月19日分の投稿です。
リリーを見つけた。項垂れていた。
誤解されては面倒なので、アデルの手を振り解く。
私はアデルに耳打ちした。
「アデル。私はここで見てるから、行ってきて。」
「なぜだ?お前の方が良いと思うが…。」
アデルは本当に女心を分かっていないようだった。
私は一生懸命噛み砕いて説明した。
「こういう時は2人で話をしないと。アデルには私を護衛してもらわないとだから、2人きりにはできないけど。」
「……。」
「ほら、アデルはリリーと仲良くなりたいんでしょ。まずはリリーの近くに行って、寄り添わないと。」
「……。分かった。」
ようやく理解したようだ。
よし。行くんだアデル。
またやらかすなよ。
私は心の中で念を送りながら、アデルの背中を押した。
アデルがリリーに話しかける。
「……。さっきはすまない。」
「……。いきなり何のつもりですの?」
「お前と話がしたいんだ。聞いてくれるか。」
アデルはリリーの目を見つめながら手を取る。
「……。」
リリーの顔が赤く染まる。
そして、だんだん期待を帯びた表情に変わっていく。
よし。良いぞアデル。
そのまま良い雰囲気に持っていけ。
そして、アデルはだんだんとリリーに顔を近づけ……
「さっきはすまない。今から一緒にグリシーヌについて話そう。」
「「は?」」
再びリリーと私の声が重なる。
「お前がグリシーヌと会うのは初めてだ。何も知らない相手といきなり顔を合わせるのは抵抗があっただろう。配慮できずすまなかった。今からでもグリシーヌがどんな人間か説明させてくれ。」
どういうこと。
アデル、ほんとに振られるよ?
リリーは驚きで言葉も出ないらしい。
「リリー。グリシーヌは俺の教育係だ。少し気の強いところもあるが悪いやつじゃなくて……」
アデルが言葉を尽くして説明し始める。
リリーは再び顔を真っ赤にする。
「頼むから出て行ってくださいまし!!!」
リリーはアデルを突き飛ばした。
アデルは吹っ飛んでいったが、私は何もできなかった。というかしたくなかった。
そして、怪我をしたアデルは私の元へ戻ってきた。
「だから言っただろう。お前が行ったほうが良いと。」
何でそんな得意気なんだよ。
アデルはまるで自分の思惑が当たっていたという風な態度だ。
私はアデルに勝算はないと思ったので、
___もう帰ろう。
リリー今何言ってもキレちゃうと思うよ。
アデルのせいだけど。
そう言ってアデルに撤退させようと決意した。
が、次の瞬間その決意は見事に打ち砕かれることになる。
私はアデルに背中を押されて、リリーの前に放り出されたのだ。
「!?」
リリーの目が一気に見開かれる。
「え、あ……」
どうしたら良いの!?この状況!!??
私はしどろもどろになりながらも、次の策を考えざるを得なくなった。




