表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/55

違うそうじゃない

本日【8月18日】2回目の投稿です。

お願いいたします。

講義が終わって、アデルと庭へ向かう。



庭に出ると、

椅子に座って、静かに本を読む女性がいた。


どうやらこの女性がリリーのようだ。


明るい茶色の髪を大きなオレンジのリボンでまとめている。ドレスも鮮やかなオレンジ色だ。


ウェーブのかかった髪は豊かで、ふわふわと風にたなびかせていた。


リリーはアデルを見ると、


「……!!アデル!!」


一瞬だけ目を輝かせた。


つれない態度とか言ってたから、てっきりアデルに興味がないのかと思っていた。


案外そんなわけでもないようだ。


まあアデルは鈍感な所があるので、リリーの思いに気がついていないのだろう。


そう思いながら見ていると、今度は私が目に入ったらしい。


私を見た瞬間一気に顔が暗くなり、


「……。待ちくたびれましたわ。」


と言った。


当然だ。


今の反応を見るに、リリーはアデルに気がある。


そんなリリーからすれば、私は婚約者同士のお茶会に乱入する非常識な女だ。


そんな女を、よく思うはずがない。


___もし命さえかかっていなければ、私はこんな頼み確実に断ってたのに。


しかし、私は断れない。


もしアデルの頼みを断り、機嫌を損ねたとする。


そうなると私は3日間食事もまともに取れず、四六時中命を狙ってくる暗殺者の襲撃に、1人で立ち向かわなければならなくなる。


アデルに見放されることは、実質死を意味するのだ。


リリーには申し訳ないけど、彼氏と会うためにもこの命、取っておかないと。


そんなことを考えていると、リリーはやっぱり


「許嫁の前に他の女を連れてくるとは、どういう魂胆かしら?」


と怒っていた。


しかし、次の瞬間アデルは驚きの行動に出る。


私を差し出して、いや、「盾にして」の方が正しいかも。


「……。お前達2人で話せ。」


と言ったのだ。


「「はぁ??」」


私とリリーの声が重なる。


アデルの機嫌を損ねまいと思ってたのに、思わず声出ちゃったよ。


そして、予想通りリリーの顔がみるみる真っ赤になっていく。


「本当に何なのあなた!!あり得ない!!!」


リリーはどこかへ走り去ってしまった。


私はアデルに言ってみた。


「追いかけた方がいいと思うよ、今の。」


「……。もちろんだ!ほら、行くぞ!!」


違う。そうじゃない。


強引に手を引かれ、私はアデルと共にリリーを追うことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ