一方、某王国では
本日(8.13)2回目の更新です。
1日1つは更新します。
______某王国にて。
シャッシャッシャッ
音がひたすら鳴り響く。
王子が柱を傷つける音だ。
「また始まったわよ。王子の癖。」
「今回は長くなりそうね。」
使用人が噂する声が聞こえる中、1人の使用人が飛び出す。
「ヘレヨン様!!」
しかし、それに続く者はいない。
「ばかねえ。自分の身がどうなっても良いのかしら。」
「多分知らないんだわ。おかわいそうに。」
他の使用人が口々に呟く中、1人の使用人はヘレヨンに話しかける。
「ヘレヨン様!!そんなことを続けておられるとお体を壊します!!少しはお体を休め…」
「うるさい!!!!!!!!!!」
「グハッ」
その使用人は、一瞬にして帰らぬ人となってしまった。
ヘレヨンは子供の時から、頭脳こそ長けていたけれども、すぐ癇癪を起こす性格だった。
気に入らないことが起きると、ひとしきりその原因を潰した後、こうやって城の柱を傷つけるのである。
小さい頃は食事用のナイフでやっていたが、成長するにつれ刃物は大きくなり、今は手に余るような大きな刀でやっている。
壁を傷つけるためだけに、わざわざ東国から取り寄せているのである。
いつもは一晩を過ぎれば落ち着くのだが、今回はそうはいかなかった。
潰そうと思っても、原因を潰せないからである。
「攫った奴誰だよ…殺す殺す殺す……」
そうボソボソと呟きながら、壁に傷を作ったり、穴を開けたり、削ったりする王子。
それだけでは飽き足らず、今度は自分の指を噛み始めた。
指先からは血が滲み、やがてたらたらと流れるようになった。
王子の癖は更に一晩続いた。
落ち着きを取り戻すと王子は、次のような命を出した。
「ドロワット、誘拐に関わった奴らを皆殺しにしろ。ヴィヨレは生け捕りだ。ヴィヨレには僕の方から仕置きする。」
「はっ。」
本日含む3日間は更新頻度が落ちる可能性があります。
また、おそらく午後の投稿です。




