隣国の城へ
私が「似顔絵の女性」の身代わりになることになった翌日。
私は山賊に身代わりになるための説明を受けた。
まず、この女性の身辺情報について聞いた。
この女性は隣国の王族の子供の教育係をしていたらしいが、国にとって都合の悪いことを王子に教えていたらしく、命を狙われることになったらしい。
「……。命を狙われているのにその人の身代わりになって城へ戻れ、とか正気ですか。」
「だからこそ、できたら自由にしてやるって言ってるだろ。」
ロゼさんが言う。貴族パーティの時はこんなキャラじゃなかったのに……。
無理難題に思わず意気消沈していると、
「まあ、もし生きて帰れたらいくらでも金をくれてやる。それと、何でも1つ願いを聞いてやろう。」
「ほんとですか!?山賊のおじいさん!!」
「何度も言わせるな。おじいさんではなく長と呼べ。」
山賊のおじいさんが不服そうに言った。
そして、言葉を続ける。
「良いか。お前のやることは、3日間教育係をしていたあの女になりすまし、時間稼ぎをすることだ。分かったら城まで送るから行け。」
「はーい。」
仕方ない。行くか。
私は身なりを女性に近づけた後、山賊一味に送ってもらい、そのまま城へと入った。
「……。それにしてもあの娘、変な所でばかですねえ。」
「ほぼ捨て駒同様だと言うのに、張り切って馬鹿なものよ。」
そんな山賊達の声は聞かずに……。




