彼氏との記憶その2
1日1つは更新します。
講義終わりの帰り道。
同じ班として、プレゼンで大成功したことをきっかけに、私達は一緒に帰ることになった。
「……。発表、うまくいったな。」
__君は、素直な人だった。
「うん。__君のおかげだね。」
「……。お前も頑張っていただろう。」
謙遜はしないんだ。
そう思ってみていると、__君が口を開いた。
「……。お前のおかげだ。ありがとう。」
本当にこの人素直なんだな。こんなに直球で人を褒めるなんて。
そう思いながら歩いていると、
「あっ!!あれは!!!」
最近話題のクレープ屋さんの看板が見えた。
こんなところにもできてたなんて!
「ごめん!ちょっと見てくる!!」
「おい、ちょっと待て。」
私はダッシュで向かった。
しかし、
「ぐっ……。」
空いてない……。
その日は店が閉まっていた。
「……。」
悔しがる私を、__君はガン見していた。
気まず。
「勝手に置いていくな。」
__君がちょっとため息をつきながら言う。
「……ごめん。」
そして、その日は普通に帰った。
後日。講義が始まる前、机に突っ伏しつつぼーっとしていると、
「……。まな。」
頭上から__君の声が聞こえた。
「どうしたの?」
そう聞くと、__君はスマホを数回スクロールした後、
「……。今日は空いてるらしい。」
聞けば、この間は原材料の調達が難しく、早々に閉店したそうだ。
そして、__君と私は一緒にクレープを食べにいくことになった。
「チョコバナナクレープといちごクレープ一つずつ!」
そして、クレープが出てきた。断然チョコバナナだろ。いちごクレープなんて邪道だ。
私がそう思いながら__君を見ていると、
「食べたいのか。」
「えっ!?」
欲しがっていると思われたらしい。
「ん。」
__君は、そのまま私にいちごクレープを分けてくれた。
これって、間接キスじゃ……。
「ほんとに大丈夫なの!?」
「……まだあるからいい。」
「いやそういう問題じゃなくて!!」
大学生は皆間接キスなんて普通にするのかな?
私がおかしいのかな?
そんなことを考えていると困惑してきて、気がつけばいちごクレープを口に運んでいた。
「……。おいしい。」
そう言うと、__君はふっと笑って
「良かったな。」
と言った。思わず、ドキッとした。
「あ、あの……。私のもいる?」
一応聞いてみる。
「……いる。」
__君は私のも何ともなげという風に口に運んだ。
さ、最近の大学生はこれが普通なのか。私の気にしすぎか……。
そう納得しかけていると、クレープ屋の店員さんが急に来た。
「すみませーん!先ほどお渡ししそびれたのですが、開店キャンペーンでアプリ登録してくださった方に、キーホルダーを配っておりまして!」
そう言って店員さんは私にキーホルダーをくれた。それは、2つに分かれるタイプのやつだった。
2つもあってもつけないしなあ……。__君の方をちらりとみる。
「これあげる。というかもらって。」
それが、私が__君に初めてあげたものだった。
それ以降彼氏はずっと、キーホルダーを持ち歩いてくれるようになったのだ。




