新たな災難
1日1つは更新します。
「ほーん。面白い。どうやって証明するんだろうな、嬢ちゃん。」
「……。」
そうは言ってみたものの、何も考えていない。
うーん。どうしよう。
ナイフを突き立てる腕の力が強まる。
やばい。やばい。
すると、ふと思い出した。
古典文学の授業で習ったことだ。
平安時代の女性って、確か身分でできるお仕事が限られていたような……。
特に、掃除、食事担当の仕事は身分が下の人がやることだったはず……!
この世界でも同じなら……!!!
「今からこの部屋中を綺麗に掃除してみせますわ。もし私が下々の者がする仕事を完璧にできるとしたら、庶民であると言う証明にならないかしら。」
「……。良いだろう。やってみろ。」
私はその後、完璧に掃除を終えた。山小屋がすっかりぴかぴかになった。
「……。お前は本当に庶民らしいな。」
ロゼさんも山賊の貫禄おじいさんも驚く。
「でしょう?」
「いや、誇るところじゃねえが。しっかし、何で庶民のお前が貴族パーティに行けたんだ?」
「あなた達みたいに忍び込んだの。貴族のパーティに行ってみたくて。」
もちろん真っ赤な嘘。
「はぁ……。」
面倒臭くなったのかロゼさんをはじめ山賊の人達は納得してくれたようだ。
「うーむ。しかし、本当にお前が庶民なら、身代金目的で攫った意味がねえな。」
山賊おじいさんが言う。
「そうですね。長。庶民から巻き上げられる身代金なんて、たかが知れてますし。」
ロゼさんも同調する。
「……。よし。分かった。お前を解放しよう。」
「本当ですか!?」
やった!!と思ったのも束の間、
「ただし、条件がある。」
山賊は私を制止し、山小屋の中をゴソゴソと探し回る。
しばらくすると、棚から一つの茶封筒が出てきた。
そして、その中の書類を1つ取り出した。
1人の女性の似顔絵が書かれている。
それを私に突き付けた。
「この女の身代わりになれ。」




