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ヴィヨレの決心

毎日更新頑張ります。

次の日は、いつも通りだった。


その次の日も、いつも通りだった。


何かあったのは、そのまた次の日だった。


いつも通り朝と昼の間に起きて、


3人でご飯を食べて、今日は市場に向かった。


戻ると全員、殺されていた。


王子も1人いた。王子は艶のある金色の髪で、綺麗な青い瞳を持っていた。しかし、その顔は返り血に染まっていた。


「あ、やっと来た。待ってたよ。」


王子は笑っていた。とても自然に笑っていた。


「……。あなた、何をしたの?」


「あー。これのことかぁ。久しぶりに街に出たら、市場に行く君を見かけてね。一目惚れしちゃったから、君のおばあさまとおじいさまに俺のものにしていいか聞いたんだ。そしたら、「ヴィヨレもいないのに勝手に決めるわけにはいかん。」って止め出すから、始末しちゃった。」


「……………。」


「あ、でもちゃんと待ってたでしょ!?君には君の予定ってものがあるからね!?君が帰ってきてから、ゆっくり語らおうと思って!」


「………………。」


「え、もしかしてすぐにでも迎えにきて欲しかった!?ごめんね、気が利かなかったね。」


「……………。」


許さない。許さない。


どうやったら殺せる?どうやったら倒せる?


「…………。」


「え。なんで黙ってるの?あーそっか。部屋が血で汚れちゃったから?大丈夫。あとで家来に掃除させるよ。」


目の前で舐め腐ってるこいつを、倒したい。


反射的に拳を振り下ろす。が、やめた。


もし物語通りに進むなら、私はこの後攫われて牢屋に監禁される。


暴動なんか起こしたら余計に警戒されるだろう。


「……………。」



「………。」


「…。」


「…怒ってないわ。ちょっと戸惑っただけ。」



「……。そっかぁ!!なら良かった!!

ねぇ、この後僕のお城に連れて行ってあげる。そこで君は、僕と一緒に暮らすんだよ。」



「……。分かった。それでいい。」



「よし!じゃあ決まりだね!今から馬車を出させるよ!」


「………。」


ふざけるんじゃない。

拳は握ったままだからな。


私はそう決意を固め、城への馬車へと乗り込んだ。


馬車の中でしきりに王子が話しかけてくるが、適当に受け流す。


そんなやつだったっけ。


まさか、『囚われのヴィヨレ』の王子、ヘレヨンがこんな最低な奴だったなんて。


少なくとも、私がプレイしてたゲーム内では、こんな奴じゃなかった。


確かにヤンデレだけど、ザ・優男みたいな物腰で、突然人殺すような情緒不安定な奴じゃなかった。


「何でだろう…?」


「ん?何か言ったかな?」


ヘレヨンは私に話しかけられたと思って嬉しそうにしている。


「……。お城にはもう着くの?」


「あぁ。もうすぐそこだよ。」


「そう。」


この後私は監禁される。牢屋に入れられる。

そう思ったら震えが止まらない。


でも、平常心を装わないと。

ヤンデレゲームにおいてヒロインが恐怖するのは相手を怒らせるフラグでしかない。


それに、おばあさまとおじいさまの仇を取らないと。取り乱すなんてもっての外だわ。


そんなことを思い巡らせているうち、城へついた。


私は降ろされた。


あぁ、牢屋に入れられる。


そして、鉄格子の立派な牢屋に案内された。


だけだった。


「あ、ここ牢屋ね。他にも案内しないとね。」


「え?」


ストーリーでは確か牢屋に監禁されるはず。


「…何でですか。」


「え?部屋の案内はしないと。僕の案内じゃ嫌だった?これから君住むんでしょ?」


「………。入れないんですか。牢屋、とか。」


「何でよ。君は僕のお嫁さんでしょう?ここでは好きに過ごしなよ。あ、城の外に出るのは禁止だけど。」


「………。」


勝ち目は、ある。


「…そうですよね!では、続きを案内してください。」


絶対に、私が勝つ。




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