第1章:高校デビュー、即・大ピンチ!?
「よっしゃ、今日から俺は生まれ変わる!」
俺、佐藤リク、16歳。今日から晴れて高校1年生だ。中学時代は地味で友達も少なく、クラスの隅でアニメの話を心の中で叫ぶだけの冴えない奴だった。でも、俺は決めたんだ。高校では「イケてる自分」を手に入れるって!
鏡の前で念入りにセットした髪、ネットで勉強したトレンドの服、笑顔の練習もバッチリ。完璧だ! これで俺も陽キャの仲間入りだぜ!
「リク、お前その髪、めっちゃ気合い入ってるな!」と、隣を歩く親友の翔がニヤニヤしながら言う。こいつは中学からの腐れ縁で、俺の「高校デビュープラン」を知る数少ない理解者だ。
「ふっ、翔、今日の俺は一味違うぜ。見てろよ、学年一のイケメン街道を突き進む俺の姿を!」
「はいはい、頑張れよ~。でもさ、最初の一歩は遅刻しないことだろ? ほら、校門閉まるぞ!」
「うおっ、マジ!?」
慌てて校門をくぐり、教室に滑り込む。セーフ! 初日から遅刻なんてシャレにならん。教室に入ると、すでにクラスの空気は出来上がってる感じ。キラキラした陽キャグループ、地味めなグループ、そして…。
「ねえ、あれ白石梓じゃね?」
誰かのつぶやきに、俺の視線が教室の窓際へ。そこには、まるでアニメのヒロインみたいな女の子がいた。長い黒髪、透き通るような白い肌、クールな目元。学年一の美少女と噂の白石梓だ。彼女が一瞬こっちを見た気がして、俺の心臓がドキッと跳ねる。
「うわ、目合った!? いや、気のせいだよな…?」
でも、その瞬間、梓がスッと立ち上がり、俺の方にまっすぐ歩いてくる。え、なに!? なんで!? 周りの視線が一気に集まる。やばい、なんかやばい!
「佐藤リク、だよね?」
彼女の声は低めで、めっちゃ落ち着いてる。なのに、なんで俺の名前を知ってるんだ!?
「は、はい! そ、そうです!」
「ふーん。ねえ、ちょっと用があるんだけど。いい?」
「え、うそ、俺!? いいです、めっちゃいいです!」
教室がざわつく中、梓はニコリともせず、俺の手をグイッと引っ張って廊下へ。なんだこの展開!? 高校デビュー初日で、カースト頂点の美少女に絡まれるなんて、俺のシナリオにこんなイベントなかったぞ!
「佐藤リク。あなた、私の彼氏になってよ」
「は!?」
彼女の言葉に、俺の脳がフリーズした。え、なに!? 高校デビュー、始まったばかりでこんな大ピンチ(!?)ってどういうこと!?