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超常探偵  作者: 黛 美影
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第1話 キャトル

 僕は超常現象専門の探偵、猫啼ねこなき 家康いえやすだ。え、超常現象専門の探偵がありえないだって?君はまったっく面白いことを言うんだね。今時、探偵が推理をする現場なんてありゃしないこの時代に探偵小説を読まんとする君が、よくもそんなことを言えたもんだね。今や化学捜査がもの言う時代、推理なんて時代遅れなんだ。ならばやってやろうじゃないか、どうせフィクションなんだし。


 僕のところに操作の依頼が来たのは4月10日のことである。

「こんにちは。あなたがこの町で唯一の探偵さんですか」

 Yシャツに、緑色のスカートに身を包んだ、短い髪の少女は言った。

「そうですとも。君はこの町の高校生だね」

「はい。この探偵事務所の目と鼻の先にある白薔薇学園の生徒橘 楓です」

 学生証を見せて彼女は言った。この探偵事務所はまさしく白薔薇学園の目と鼻の先にある喫茶店の二階にこじんまりとたたずんでいる。

「私の友達が神隠しされているんです」

「ほう、それは大変だね」

「私の幼馴染の花宮 菫が入学式の次の日から姿を消したんです」

「詳しく聞かせてくれるかい」

「花宮 菫は私の幼稚園からの幼馴染です。目鼻立ちがはっきりしていて、とても小さな顔に、大きな目が特徴的です。うまれつき、髪は綺麗な白髪です。背は私より少し小さいくらいで、」

「見た目なんて関係ない。大事なのは最後にあった場所だ。最後にあった場所を教えてくれるかい?」

「最後は入学式をやった校庭で菫はいなくなりました。同じクラスになれたのに、入学式の次の日に神隠しに会うなんて」

「事情はよく分かった。今日の夜、白薔薇学園の学校の入学式をやったという、その校庭を先生とかに行って貸し切ってくれるかい」

「菫を助けられるならやります」

「じゃあ夜の七時に白薔薇学園の校庭に来てくれ。後、くれぐれも一人で来てくれよ」


 すっかり暗くなった夜の校庭に少女はいた。

「十分に広いね」

 僕は校庭の広さを確認し、彼女に

「楓ちゃんは目はいいかい?」

 と尋ねる。

「はい」

「じゃあこれをつけて空を見てくれ」

 僕は高性能遮光超高倍率望遠鏡を彼女に渡す。

「神隠しの正体はおそらくUFOにキャトられたのが原因だ。キャトルっていうのは、キャトルミューティレーションのことで、人をUFOに乗せるための行為のことで、昔は魚や鳥を巻き込んでキャトっていたせいでだいぶ有名になったんだ」

「本当に菫はUFOにいるんですよね」

「間違いないね」

「じゃあやらせてください」

 彼女は高性能遮光超高倍率望遠鏡を受け取り、空を眺める。

「恐らく、まだUFOはこの大気圏の中にいる。理由はまた後で説明するよ。UFOは円盤状のみんなが想像するような形のやつだ」

「分かりました」

「そういえば、UFOがその望遠鏡を使えば肉眼で見えるわけだけど、その理由を君は知りたくないか」

「いえ、べつに」

「べつにと言われても説明するのだけどね。大丈夫。君が見つけるまでに説明するさ。ステルス戦闘機と言ったら、目に見えない戦闘機を想像するかもしれないが実際にはセンサーをかいくぐるのがステルス戦闘機だ。目から見えなくするのには光学迷彩という技術が使われる。その二つの技術を駆使するため、宇宙船、すなわちUFOはUFOが見つかることがないわけだ。君に渡した望遠鏡には光学迷彩を無効化する仕組みがなされてる。だから目で見えるというわけさ。大気圏内にまだ、UFOがいると断定できる理由は、どうやらUFOというのはその高性能さと引き換えに燃料持ちがわるいらしく、行きのUFOは地球への移動と地球上の移動に使われ、帰りは移動専用の大きいが隠密性の低いUFOを別で用意する必要があるらしい。今は、信号が出されてから帰りのUFOの数十日間の待期期間で、地球内にまだそのUFOがあると予想できるわけだ」

「よくわからないけど、詳しいのですね」

「実は、最近UFOにキャトられたんだ。どうやら人違いだったらしいがついでに色々教えてもらったんだ」

「ところで僕の探偵事務所は元から知っていたのかい」

「いえ、すみれがいなくなってからです」

「目と鼻の先にあるものには案外気づかないものだよね」

「ありました!!あそこです」

 指をさして楓は言った。まさしくUFOは目と鼻の先ではなかったけれど、指をさした方向に楓はUFO見つけたらしかった。

「じゃあ、信号を送るからそこで見ていてよ」


 僕は懐中電灯を取り出し、5回点灯させる。の・せ・て・く・れのサインを出すと僕たちは光に包まれ、UFOの船隊へ移動する。

「菫、心配したよ」

 そう楓はいいUFOの操縦席にいた、白い髪の少女と抱擁した。長い白い髪はうつくしく菫、楓はともに涙を流していた。

「君が花宮 菫だね。その白い服にその黄金色のテントウムシはどこかの惑星の王女の証だね」

「はい、私はアンドロメダ銀河の惑星の出身です」

「菫?」

「楓ちゃん、彼女はね宇宙人なんだ。竹取物語のかぐやひめみたいなものだ」

「え?」

「はい、そうです」

「それが本当だとして、なんで探偵さんはそれが分かったんですか?」

「それはね、うまれつき白髪の少女なんていないからだ」

「見た目関係あんじゃん」

「それに式典が校庭で行われたのは少しおかしい。集会は校庭を利用することもあるが、式典は大体体育館で行われるものだよ。これは菫が集団睡眠をかけて、そのうちにUFOに移動したんだね」

「なんか推理が弱い‼」

「でも本当だろ」

「はい、その探偵さんの推理は当たっています」

「君はアンドロメダ王女だ。アンドロメダでの君主は、地球で育てられ、成長したら宇宙を超えてはるばる帰っていくというふうしゅうがあるらしい。まさしくかぐや姫だ」

「そうなの?」

「うん。全部本当」

「じゃあ、やっぱお別れなのね」

「うん」

「でも次また地球に来ることがあったら私をキャトってアンドロメダまで連れてってね」

「分かった、じゃあ、またね」

 二人は泣いて、また抱擁して、橘 楓再び地球に戻った。


「あなたは何者ですか」

 探偵の僕は宇宙船に取り残された。

「私がアンドロメダ王女であることを知っているようですが」

 菫は光線銃を構える。

「全部本当のこと話すからどうか殺さないでくれよ」

 菫が銃を下すと僕は話し始める。

「実は全部未来の君が教えてくれたり、道具をくれたんだ。サインを教えてくれたのも未来の君なんだ。未来の君は今日橘 楓にお別れできなかったことを後悔して、昨日の僕を未来の君がキャトったんだ。今日の君と楓をしっかりお別れをさせてあげたいというのが彼女の望みだった。だから彼女から様々なアイテムをもらい、サインも教えてもらった、君が王女なことも未来の君から聞いたんだ。僕は推理なんてしてなくて、未来の君のうけ売りだったんだ」

「そいうことだったんですね。ありがとうございました」

「あとこれは、僕からのプレゼントなんだけど、地球が総力を挙げて作った影武者マシンだ。ボタンを押すと、見た目も声もそっくりなマシンが設定した言葉をしゃべってくれるらしい。例はいらないがたまには、楓に会いに来てあげてくれ」

「ありがとうございます」

 アンドロメダ王女は振り返ることはなかった。すすり泣いていた。そのうち僕も地上に下ろされた。


「探偵ってすごいんですね」

 楓は言った。

「僕は超常現象専門の探偵だからね」

 未来の菫から聞いた話なのだが、楓は今日菫とお別れできなくても、菫を宇宙中を飛び回って見つけ出し、今はアンドロメダで仲良くやってるらしい。ただし、楓はそのことに人生の半分以上を費やした。今日、2人がお別れをしっかりすることで、楓の人生と菫の人生をより良いものにする。それが僕への未来の菫からの依頼内容だった。本当は楓を直接探し出したかったがあんまり走り回るもんだから、僕を頼ったということらしい。


 僕は超常現象専門の探偵猫啼 家康。どんな難解な事件でも僕にお任せ。

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