2 ミニ新幹線ならどうよ
「まぁ武雄温泉〜長崎のスーパー特急方式のメリットが薄いのは分かった。だったら、新鳥栖〜武雄温泉をミニ新幹線にして、佐賀県の在来線を維持したまま直通すればいいんじゃねえの?」
ミニ新幹線とは、在来線の線路を標準軌に変えて新幹線の車両が在来線に直通できるようにする、というやつです。
山形新幹線や秋田新幹線で既にやってますね。建設されたのはまぁまぁ昔の話ですが。
そう、これもまたスーパー特急と同じく最近になって取り入れられた事例が無いのです。ならば、ミニ新幹線にもやはりフル規格新幹線に対してデメリットがあるはず。
ということで挙げます。
メリット
①新幹線から在来線に直通できる
デメリット
①改軌にあたって工事が必要
②工事の間、その路線が使えない
③速くならない
④在来線サイズの車両で新幹線を運行しなければならない
⑤普通列車も新造または改造しなければならない
前回同様、これらのメリットデメリットを西九州新幹線の新鳥栖〜武雄温泉に当てはめてみますと、
≫新幹線から在来線に直通できる
西九州新幹線の建設に反対している佐賀県は反対する理由の一つとして『長崎本線がJRから経営分離されて佐賀県が第3セクター鉄道会社を起ち上げないといけなくなる』ということを挙げています。
新幹線の代わりに在来線を利用できるなら、した方がよいでしょう。
≫改軌にあたって工事が必要
≫速くならない
≫普通列車も新造または改造しなければならない
結局線路を狭軌から標準軌に張り替えるわけですから、工事が必要になります。そうすると、やはり新たに費用がかかってしまうことになります。
おそらく長崎本線をミニ新幹線化する時は、佐賀県は費用負担を求められることになります。
ここで、佐賀県が西九州新幹線建設に反対している理由のもう一つを挙げてみましょう。
『新幹線を建設したところで博多までの所要時間は大して変わらないのに建設費用の負担をしなければならない』
新鳥栖〜武雄温泉をフル規格新幹線として建設された場合と比較して、ミニ新幹線はさらに時短効果が小さくなります。
高架橋を建設しなくていい分建設費用は少なくて済むでしょうが、その分遅いとなると佐賀県にとってメリットが少ないことに変わりはないでしょう。
さらに、線路を標準軌にするということは、特急だけでなく普通列車も標準軌にしなければならないということになります。
佐賀県内からは福岡・長崎へと走る普通列車も多く設定されていますから、佐賀県内の長崎本線をミニ新幹線にした場合、鹿児島本線や長崎県内の長崎本線・佐世保線も標準軌化することになります。
新幹線を求めている長崎県はともかく、福岡県も巻き込んでしまうことになります。
また、仮に佐賀県内の長崎本線を三線軌条化(内側に狭軌、外側に標準軌の線路がある状態)にすると、普通列車と特急列車で線路に対する車体の位置がズレることになりますから、駅を新しく整備し直すことになります。ホームが線路の右側にあるのか左側にあるのか、駅によってバラバラですからね。
≫工事の間、その路線が使えない
単純に線路を張り替えるわけですから、工事の間線路が使えなくなります。
≫在来線サイズの車両で新幹線を運行しなければならない
山形新幹線や秋田新幹線の場合と同じように、ミニ新幹線を走らせるということは、在来線区間を通ることができるサイズの新幹線車両を導入しなければなりません。
そうした場合、九州内だけで完結するならいいですが、山陽新幹線に乗り入れるにはやはり力不足といったところでしょうか(九州新幹線の直通車両が8両編成なところを見ると、JR西日本は東海ほどではないにせよ車両規格の統一を図っているような気がします。こればかりはあいまいなことしか言えませんが)。そのため、山陽新幹線への乗り入れを断られてしまう可能性があります。
そうなるとスーパー特急のところで述べたように、建設してからの発展性が無い、ということになります。
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以上のことから、ミニ新幹線はスーパー特急同様に非現実的であるといえるでしょう。
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