入社初日は緊張します。
「ふうた! 緊張しなくても大丈夫だからね。アタシがいるんだから」
俺が緊張している理由。それは、今日が新しい会社への入社日だからだ。
大学時代に同じ学科だった華澄に紹介してもらい入社した会社だが、これからどうなるのか、不安が募るばかりだ。
入社日である今日は、華澄と約束して会社まで一緒に来たのだ。
「これから、上手くやっていけるかな...」
「大丈夫、みんな優しいから! それに、風太の仕事はアタシたちのサポート役。それはつまり、難しい仕事ではないってことだから」
華澄が属している部署は、総務部。そこで俺は華澄たちのサポートというわけなのだが、どういうことをすればいいのやら...。
「総務部って、何でもやるイメージがあるんだけど...」
「まあ、そうだね。でも、これからは風太と一緒に仕事ができるから、毎日楽しくなりそう!」
俺に満面の笑みを向ける華澄。俺としても、華澄と一緒に働けるなら毎日が楽しみだ。
◇ ◇ ◇
「今日からお世話になります、相原風太と申します。これからご迷惑おかけしてしまうことがあるとは思いますが、日々成長していけるよう頑張って参りますので、よろしくお願いいたします」
初出社。事務所で皆に挨拶をし、朝礼後は配属された部署に集合する。
「さっきも紹介があったように、今日から私たちと一緒に働く仲間になった相原くんね。華澄ちゃんはすでに知ってるでしょうけど、何か分からないことがあればすぐに聞いて欲しいし、みんなもちゃんと教えてあげてね」
部署で俺の紹介をしてくれたのは、面接でお世話になった如月美華さん。俺が配属された総務部の部長である。
面接の時から思っていたが、すごく美人で、俺とそんなに年が離れていなさそうな若さだ。
「はーい」
伸びのある返事をしたのは、俺よりも若く見える女の子だった。第一印象からして、可愛い。
「華澄ちゃんのことは知ってるでしょうから、亜美ちゃん自己紹介してちょうだい」
「はーい。えーっと、常磐亜美です。趣味は、アニメとコスプレです。好きな食べ物は、シュークリームです。えーっと、あ、そうだ、誕生日は7月27日です。よろしくです」
「よ、よろしくお願いします」
「あ、敬語じゃなくていいですよ。ウチ、相原さんの1コ下なので」