いつもの朝
僕が独り暮らしをするようになってからちょうど1年。
毎朝目が覚めるとすぐ玄関の扉の鍵を開けて、いつも通りの朝を迎える。
いつ何があっても良いように身だしなみを整え、朝食は多めに。食器が多くて何を使えば良いかいつも迷う。
「まあ良いや、今日も全部使おう」
いつもこんな調子。そんな同じ1日のはじまりを迎えようとした時…。
「ただいま」
玄関の扉が開いた。
「…おかえり」
1年ぶりに妻が帰ってきた。
「…よく分かったね。私が今日帰ってくる事」
彼女は俯きがちにテーブルに並べられた食器を見つめながら切り出した。
「ずっと2人分の食器と料理を用意してたんだよ。1年前、君がここを出て行った時から」