閑話-白髪の少女-
--アトリスside--
(ふぃ~、眠い…。この星に来てから本当についてないわ…。)
白い白い空間を歩きながら白髪の少女アトリスはボヤいていた。
(使い魔を放ち、契約者を探そうとしたら、あの馬鹿モフィートからの妨害術式を受けて、使い魔たちはバラバラになっちゃうし、どこにいっちゃうかわかんないし…。私自身の拡散した魔力を補うために魔力補充をしようとしたら…)
ピタッとアトリスは足を止めた。そして何もない空間を眺め、顔をしかめる。
(急に使い魔の魔力反応があったと思ったら、なにこの魔力量ッ…!?反応からしてウルだけど…、アイツなんて奴と契約してんのよ…!!)
管理する身にもなりなさいよー!!っとアトリスは天を仰ぐ。そうこうしている間に頭の中に、位置を判明したウルを通して、契約した少女がどんな人物なのか情報が流れ込んでくる。
(ううん?自称魔王…?破壊神?ええい、ややこしい!魔王なのか神なのか、はっきりしなさいよ!!)
頭をガシガシと掻き苦悩するアトリス。その時、ふと思考していた動きが止まる。
(あれ?てか、ふと思ったけど、この少女の近くに魔力反応がある?え?まさか魔獣!??)
はやく扉を出して助けなきゃっ!!とアトリスが思った瞬間だった。
(あ、あれ…?近くの魔力反応が消えた…?え、倒したの…?え、この一瞬で…?)
あれ…じゃあ助けなくてもいい?いやいや、でも私たちの問題に関わらせる事になるんだし、挨拶はした方がいいよなーっと、頭を抱え悩むアトリス。
(見なかったことにして、寝ちゃおうかな…)
アトリスは職務放棄を決心した時だった。急に先ほどの強大な魔力がフッと消えたのだ。
(ええええ!!?なになに!?新手??新手の魔獣にでも襲われたの!!?でも、近くに魔力反応はないし…!?)
慌てて、アトリスはウルを通して情報を得る。
(え?は?魔装の破裂!!?なにそれ!??どうしたらそんなことが起きるよ!?どんだけ規格外なのよ!?あの子!?)
信じられない出来事にさらに慌てるアトリス。ふと、一つの可能性が頭に過る。そういうかそれしか考えられない。
(魔装が強大な魔力に耐え切れずに破裂したんだ…!)
そんなことある?と思ったがそれしか考えられない。そもそもこの少女の名前はなんて言うのか、破裂した切れ端の一部一部から読み取り名前を調べる。
(あの子の着ていた服に名前が書いてある…。高責 綾乃…。それがあの化け物魔力の主の名か…)
そこまでわかった直後、どうやら使い魔ウルの方と揉めていることが分かった。
(う~ん、う~ん。なんだろ…、はっ、もしかして契約破棄…!?性格に問題ありそうだけど…あの戦力は欲しい…!!)
意を決して、アトリスは契約した少女の元に自分の空間に繋ぐ扉を出現させたのである。
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魔王少女こと高責 綾乃を送り出した後、アトリスは胸を撫でおろしていた。
「こ、怖かった~…」
そう言い、白い白い少女アトリスは足をプルプル震わせ、その場にへたり込んだ。
特に誰もいない空間でアトリスは自分自身に言い聞かすように呟く。
「機嫌を損ねないようにやったけど、あれでよかったわよね…。うん、あれ以上の対応はないわ。頑張ったわよ。うん、アトリス偉い」
自分で自分のことを褒め称え、生まれたての小鹿のようにプルプルと足を震わせ立つアトリス。
ふと、へたり込んだ横に先ほどのやり取りの際に、余分に出現した下着に目をやる。
(ふむ、この世界の住人はこのような物を着るのか…)
この下着がどのような効力をもたらす物かはわからないが、あの凄まじい子が要望してまで欲しがるものだ。きっと、とんでもない物なんだろう。
アトリスはフムフムと頷き、下着を拾い上げる。
先ほど場所に戻り寝るのも面倒なので、アトリスは目の間にベットを新たに出現させ、横になった。
(魔力の継承か…)
横になりながら、先ほどの高責 綾乃が出した条件を頭に思い浮かべる。
出来なくはない。出来なくはないが、やってしまったらこの星をモフィートの脅威から守ると引き換えに、この星に恐ろしい爆弾を残してしまう。そんなことしたら、モフィートの次はアトリス自身が、星に追われる罪人になってしまう。
(それだけは…避けないと…)
そこまで考えて、ふとアトリスの頭に妙案が浮かんだ。
(あっ…!そうよ!そうすればいいじゃない!!私って天才ね!!)
そうと決まれば、既成事実の為にさっそく準備に取り掛かろうとする。
アトリスはベットに横になり足をパタパタさせながら、上機嫌で魔力の補充と今後の動きに備えて準備を行うのであった。
アトリス:アトリスは上下とも履いtゲフン!ゲフン!