1-17
お互いに話すことが終え、この後の行動に考えていた私にアトリスから発言があった。
「それでは、元の場所に戻しますね」
突然そう言われ私の今の状況を再確認し焦って答える。
「え?ちょい待って待って。私、今全裸!この状態で戻されるのは…!ちょっと…!!」
「え?あ、そうですね。となると服ですか?」
「そうそう!服!!それにさ、元の場所じゃなくてさ、私の家の部屋に扉出すとか出来ない??」
私の意見にアトリスは頷き出来ることを肯定した。
「場所さえ教えてくだされば可能です。ただ扉の出現した際、その位置にあった物は壊れてしまいますが。それでも、よろしいですか?」
「いや、それはちょい待ち。下手にゲーム機やテレビのところに出現したら笑い話にもならねぇ!」
私はアトリスが発現させようとする手を必死に抑えて停止を呼びかける。
「ふむ、それでは…」
アトリスは、しばし考えた後、腕をヒラリ振るとシュっと、私の目の前に先ほどまで着ていた制服が現れる。
「協力していただく前報酬という事で差し上げます。この服でよろしかったですか?」
「おおぉお!あんだよ!めっちゃ気が利くじゃねぇか!!」
アトリスまじ大天使。いや、この子のは私の中で天使長にランクアップしたぜ。んと、そうこう言う前に早く着替えなきゃ、っと思った際にある事に気が付く。
「ん?下着がねぇ…」
制服を着ようとした際に下着がない事に気が付く。いや、私もナイスバディって訳じゃないが、さすがに擦れたら痛いっていうか…。スース―するっていのは嫌っていうか…。
「下着とは…?」
聞きなれない言葉を聞いた様に、アトリスは首を傾げ、はてなマークが頭の上に浮かび上がる。
「え…!?あの…、下着って…」
その様子…。下着知らないってことは…アイリス…まさか…。
私は下着の説明をし、追加で下着も出現させて貰う。白いシンプルな下着だが、肌触りは凄くいい。さすが天使長。マジ天使長。
「ふむ、この星の文明をまだまだ知らないことが多いですね…。善処致します」
アトリスは余分に出した下着を手に持ち、まじまじと眺め呟く。アトリスって純粋なんだが、天然なんだが…。
「それでは先ほどの場所に戻しますね。」
服を着替え終えた時にアトリスが声をかけてくる。
「あぁ、服ありがとな。アトリス」
私がそう答えると、アトリスはニッコリと微笑んだ後、頭を下げた。
「いえ、わたくしのこそ、この度の協力して頂けることに感謝致します」
アトリスは「それでは」と言い、私の前の前に先ほどと同じ白い扉が現れる。私は扉に手をかけて、その後ろに汚物が付く。
「よろしく頼みましたよ。魔法少女…あ、いえ」
「魔王少女、高責 綾乃さん」
扉の開け景色が変わると同時にアトリスの声が聞こえた。
周りの景色は先ほど魔獣と戦った裏路地に戻っていた。先ほど降っていた雨はすでに上がっていた。
アトリス:使い魔たちの主。白い。とにかく白い。心も白い。