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体内の隅々までに魔力が流れ、細胞の一つ一つに行き渡る。体の表面からは魔力が肉眼で確認できるほどに溢れ出ている。私はそれらの魔力を右手に込め拳を作り、迫りくる魔獣の腹に目掛けて思いっきり振り抜きながら言う。
「喰らいな」
ボッっと一瞬周りの音が消し飛んだ。
そう感じた次の瞬間、爆音が聞こえ凄まじい勢いで魔獣は後方に吹っ飛んだ。そのまま後方のビルの壁にぶつかり、壁に何本もの亀裂が走った。
「む~まだうまく力が練れないな…。久しぶりってのもあるけど魔力というか元々の本質が違うのかな…?」
放った一撃を考察しながら、ふむふむと考え込む私。その様子の私を見て汚物は叫ぶ。
「しゅー!?なに呑気に考えているんだゅ!?追撃しないと…!?」
汚物が喚いてきたから、私は「あぁ…」と言い、続けてなんてことない風に言った。
「もう終わっているから」
そう言って私は魔獣の方に向けて左手の甲を上げ、汚物に見えやすくする。
「しゅ…ッ!?」
そこには魔獣の腰から上が跡形もなく消し飛んでいた姿があった。残っているのは下半身だけ。
「で、でもこの後復活するかもしれないでしゅし…!!?」
汚物はそれでもまだ不安なのか発言する。私はやれやれといった感じで言う。
「だから、もう終わっているって」
その発言の後すぐボロボロと残っていた魔獣の下半身が崩れ始めた。
案の定、その様子を見て驚愕の声をする汚物。
「しゅ!?肉体の崩壊!??なんで終わっているってわかったんでしゅかッッ!?」
「いや、わかってないよ。殴った時に一緒に毒素的な魔力を奴の体に流し込んだ。猛毒のな。それだけ」
私はサラッと答える。汚物は唖然とした顔になり魔獣が崩れ去っていく状況を眺めている。それより私は別のことを考えていた。
(この力を完全に私の物に出来ればこの世界の掌握…。いやいや、まず先に元の世界のあの神々に報復するのが先か…)
ニヤニヤと今後の予定を考える。やばい楽しい。ワクワクが止まらねぇぜ。
「な、なにはともあれ助かったしゅ。お礼を言うでしゅ。ありがとうでしゅ!!」
私が今後の素晴らしい予定を考えていると、汚物がお礼を言ってきた。フン、お礼など言われてもどうという事はない。まぁ、言われて悪い気はせぬがな。むしろ私がお礼を言いたい方だ。
「フン…、別にわざわざお礼を言われるほどではない」
私はそう答えると、汚物がいやいやと言う。
「何言ってるんでしゅか!!?この力!圧倒的パワーでしゅ!!古の戦士たちの中でも、ずば抜けてこんなに魔力高い人は今までにいないでしゅよ!!やっぱり魔王というのは凄いんでしゅね!!!」
汚物が凄いべた褒めをしてきた。いやはや、そんなそんなこんなテンプレのようなお世辞言われて…嬉しいに決まってんだろ!こんちくしょう!!
「えーやっぱりー?歴代最強だったりするー??」
私はいい気になり顎に人差し指を起き可愛らしい声を出して問いかける。
「しましゅ!しましゅ!No.1でしゅ!!」
汚物がそれに答えるようにすぐ返答する。こいつ思っていた以上にいい奴じゃねぇか。
「ふーん、そっかー!歴代最強か~!!」
わはっはっはっはと私は声を上げ笑ったその時だった。
パァアン!!と小気味の良い音を出して着ていた衣服が弾けた。
「…は?」
私は下に目をやり状況を確認する。
……うん。丸裸である。
生まれた姿の状態になり薬指の指輪だった汚物が元の姿に戻り「てっ!」と痛みの声を上げ地面に落ちた。
髪の色も元に戻り素っ裸になっている状況を確認した私は、
「に、にゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
この世界で生まれて一番の叫び声を上げたのであった。