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魔王が転生して魔法少女になる件  作者: きぉ
一章【魔王少女爆誕】
10/20

1-9

私は勢いよく叫んで契約宣言した。決まった。完璧だ。

しかし、汚物からとんでもない衝撃発言が飛んできた。

「しゅ、そう言われてもそんな急には無理だしゅ…」

「はぁっ!!?」

私は声を上げ困惑した。理由を聞こうと聞く前に私の体に影が被さる。ハッっとし地面を蹴って退いた瞬間と、さっきまで私が立っていた場所に魔獣が爪をたてて殴るのとはほぼ同時だった。衣服の一部が鋭利な刃物で切られた状態になる。あの場で立ち尽くしていたら終わっていただろう。

魔獣がグルルと呻き再度こちらを見た。

「くっ…おい、じゃあどうすれば契約できるんだ!!?」

私は後方に走りながら、汚物に向かって叫ぶ。それと同時に魔獣は再度こちらに向かって走り出してきた。

「契約には時間がかかるんでしゅ!」

直線状の道じゃダメだ。やみくもに走っていてもいずれ追いつかれる。悔しいが今は上手く逃げ回る事に徹するしか手段はない。私は路地の道を複雑に回り続けるしかない。

「じゃ早く取り掛かれ!!どれぐらいの時間を有するんだ!?」

「そんなに時間はかからいしゅ!でもほんの少し時間を稼いで欲しいしゅ!!」

魔獣が雄たけびを上げ再び殴ってくる。風が切る音が背後に聞こえ私は頭を下げ路地を曲がった。スパァンと配管が切られる音が後方から聞こえる。

「簡単に言ってくれるじゃねぇか…!」

「破壊神と恐れられた魔王じゃないでしゅか!?」

その言葉に、私は不適な笑みを浮かべ叫び答える。

「はっ!言うじゃねぇか!!」

上等だ。これが私に魔法を得れる試練だと考えるなら俄然やる気が出てくるぜ。私は走りながらふと、脳裏に一つの妙案が浮かんだ。賭けてみるか。一か八かの勝負になるが、やらねぇ後悔よりやって後悔したらぁ!!

ザザァと靴をすり減らしながら次の角を曲がる。グォオオオ!!っと叫び追いかける音が聞こえる。

体中が擦り傷や裂傷などボロボロになりながら逃げ回っていた。

魔獣と人間の足ではいずれ追いつかれる。いつまでも逃げ回れるとは私も思っていない。その時はすぐに訪れた。

全力で疾走し続けた足は震えて私は壁に手を付き息を荒げた。

「しゅしゅー!もうちょっとなんだしゅー!!もうちょっと頑張って欲しいんだしゅー!!」

グルルルと唸り声が聞こえ後方を見ると魔獣が獰猛に笑いゆっくりと近づいて来ていた。

「あの…野郎っ…勝利を確信したかのような顔で笑いやがって…」

日はすでに落ち、辺りは暗くなっていた。走りすぎて町の外れの方に来ていた。

「ご、ごめんしゅ…こんな事になるなんて…」

魔獣が笑い雄たけびを上げ手を大きく振り上げた瞬間を見て私は笑った。

「うるせぇよ」

私は伊達に生まれて十数年過ごしてきたわけじゃねぇんだぜ。日に落ちて暗闇に包まれたこの状況。私は汚物の反対にすでに握っていたのはこの世界の文明の偉大なる品スマートフォン。起動していたのはカメラアプリ。

「くらえ、この世界の文明の力を…!」

暗闇に包まれた空間に私の手の箱から光が放たれる。

「グォオオオオオオ!!?」

魔獣が突然の光に反応し目を覆い隠す。当たりだ。人狼だから鼻が利くと思っていたが、明らかに汚物を見つけた時は目で認識していた。賭けは勝った。ま、もし負けたとしても代替え案は在ったがな。

「ははっ!どうだ!?フラッシュとやらの力は!!オラァ!!」

私はそのまま握っていた汚物で魔獣の鼻面を殴りつけ距離を取った。ちなみにこれが代替え案だ。

「グ、グモォォォオオオオオオオオ!!!!」

「しゅー!!痛いしゅ―!!」

「ははっ!くせぇか!!」

異臭を纏わせた汚物での攻撃がヒットした。魔獣はノズルを抑え呻き声を上げた。その様子を見て私は笑った。ざまぁみろってんだ。

その時、汚物が光り始めた。

「うおっ!?なんだ!?怒ったか!!?」

「違うしゅ!契約準備完了だしゅ!!」

「なんだよ…びっくりしたじゃねぇか。じゃあ、仕切り直しといくぜ」

魔獣は憤怒の色を目に宿し怒り雄たけびを上げる。その様子に怯むことなく私は叫ぶ。


「 「 契約!!!!! 」 」


汚物と私の叫びが重なり体が光に包まれる。

魔獣はその様子に動じることなく、そのまま飛びかかってきた。

勢いよく魔獣の爪が私のいるところに振り下ろされる。が、振りぬくことはなかった。


なぜなら、魔獣の爪を私の手で掴んでいたからだ。


光が晴れ、私が姿を現す。髪の色が黒から紅蓮の赤に変わり、身に着けていた制服が赤を基調の英国のドレスに変わっていた。首元に大きな赤のリボンが付いている。ただ少々下のスカートが短い気もする。汚物は指輪に変わり私の左手の薬指に付いていた。

「グオッ!?グォオオオオオオ!!!??」

「ふは…ふはははははははは…!!!!」

魔獣が戸惑いの声を上げ、私は笑い声で返す。そしてそのまま手の握力で爪を握りつぶした。

「す、すごい魔力が放出しているしゅ!!身体能力も上がっている…!!?」

「あー?身体能力は魔法でカバーしているんだよ」

「変身したばっかりなのに…力を使いこなしてるしゅ…!?」

汚物がいちいち騒いでいる。うるさい奴だ。これぐらいで驚かれては困る。ひさびさに使うんだ。本調子はまだまだ程遠い。

私は魔獣を睨みつけて笑う。


「さーて、反撃開始だ」

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