俺、ゴリラ。未来のスーパーアイテムをもらえる。使い方わからない。ウホ。
俺、ゴリラ。今日もバナナ食ってウンコして寝る。
幸せ。
「はいこんにちわー!どーもー!女神様でーっす!」
ウホ。なんか来た。ここ、俺のナワバリ。
ドコドコドコドコ。ドコドコドコドコ。
「はいそこー!ドラミングやめてくださいねー!私は敵じゃありませんよー!」
ウホ。こいつ、毛が少ない。かわいそう。
「ぜんっぜん可哀相じゃありませーん!っていうか私の言葉通じてますよねー!?言語能力がなくても理解できるはずですよー!」
ウホ?お前、腹減ってる?バナナ、やる。
「わぁー!ありがとうございまーす!実は好物なんですよー!美味しいですよねー!バナナー!もーぐもーぐ………じゃ、なぁーい!」
ウホ。お前、全部食べた。
「食べましたけどぉ!いい加減話進めていいですかぁ!?返事ないので進めます!ちゃんと聞いてくださいね!私は!この世界を管理してる!女神です!」
ウホ、管理?
「よーするに、この世界は私の縄張りってコトです」
ドコドコドコドコ。ドコドコドコドコ。
「なんでナワバリ主張してるのぉおお!?話が進まないでしょおおおお!?」
争いはやめよう。俺のナワバリに入らないでくれ。
「話進めまぁああす!とにかく!この世界をずーっと見守ってきましたけど!私のとこだけぜんっぜん誕生しないんですよ!人類が!」
ウホ?人類?
「私寄りの外見をしてて、すっごく賢くって、いろんなものを作ったりする生き物のことでーす!可愛いんですよー!それぞれにすっごく強い個性があって、一匹一匹違う思想を持つんですー!」
バナナと、どっちがいい?
「バナナと天秤にかけられる全人類かわいそう!はい脱線アンド脱線も飽きてきましたね!進めます!それでですねー!人類に誕生してもらわないとー!この世界つまらないって神様に見捨てられちゃいますのでー!こうなったら人類の代わりにゴリラに文明を作ってもらおーかなーって!ごそごそフフーン!」
ウホ、それ、なに?
「あれー?気になっちゃいましたー?ちょっとだけ見せちゃおっかなー?チラッ、チラー!ほーら、これが文明の利器ですよー!」
ウホ。
「ひゃああああ!?ウホじゃなあああああい!勝手に触ったらダメでしょおおおおお!?弾出たらどうするんですかぁあああ!?」
弾?
「やり直します!…もう仕方ないなぁ!ゴリ太くんは!テッテレテッテッテー!むげんマシンガン〜!」
むげんマシンガン?
「そーでーす!弾数無限!使用年数無限!複製無限!撃ち放題の増やし放題でーす!使い方は簡単!この引き金を引くだけ!増やし方も簡単!このボタンを押すだけ!これであなたも今日から世界最強の狩人!ガンガン獲物を狩っちゃってくださーい!」
えもの?
「あれ…?もしかしてゴリラって肉とか食べないんですか…?あれれ…?」
バナナは美味しい。
「そうですねバナナは美味しいですねー!でも今はそんな話してませーん!武器は獲物を狩るだけじゃないんですよ!危険な外敵に襲われた時にも役に立つんです!」
敵?
「敵は敵ですよ!いるでしょう?ゴリラの敵が…ゴリラの敵…?ゴリラを襲う生物…?………オープンザゲート!カモンマイベイビー!」
ウホ、なんか出た。
「さあどうですか!?ゴリラVSメカゴリラ!これはもう戦わざるを得ないのでは!?」
こいつ毛がない、かわいそう。
「それはさっきやったでしょおおおお!?いーからさっさとそれ使って戦ってくださーい!」
ドコドコドコドコ。ドコドコドコドコ。
「銃を使ってえええええ!」
「敵対行動ヲ感知シマシタ。迎撃モード起動」
「ほらほら!使わないとヤバいですよ!殺られる前に殺らなくちゃ!」
「ドコドコドコドコ、ドコドコドコドコ」
「このクソゴリラどもめぇー!」
争いはよくない。引いてくれ。
「うるさいのでクーリングオフ!はい!いなくなりましたよっと!まったく、何を平和的に解決してるんですか!ちゃんとエグい武器使って殺し合わなきゃダメでしょ!?」
殺し合う?
「相手が死ぬまで争い続けるという意味です」
なんで?
「え…?う〜ん………たとえば、この森にあるバナナの木が、ゴリラ一匹分しかないとしますよね…?そこに他の飢えたゴリラがやってきて、バナナを全部奪おうとしてきたらどうします?二匹分には足りないのですから、どちらか片方が死ぬしかないと思いませんか?そしてこの武器があれば、あなたは絶対に負けずバナナを食べ続けることができるんですよ。さ、わかったらガンガンこの銃を使って増やして配ってくださいね。道具を使うことが文明の第一歩ですから」
それなら銃よりバナナを増やした方がいい。
「あれ?私、いま…ゴリラに論破された?嘘…」
争いはよくない。みんなでバナナを食べよう。
「………女神様からの贈りもの、だいにだーん!永久発電機ー!」
はつでんき?
「電気…そう、それは人類史に残る偉大な発見!とはいえ電気単体では使いにくいでしょうから、今回は特別に無限ライトもオマケしちゃいまーす!」
らいと?
「ふっふっふー!これを見て驚けー!ほーら!ピカピカー!ピッピカピー!」
ウホ、目が痛い。
「どーですか?眩しいでしょう?すごいでしょう?これさえあれば、夜でも好きなだけバナナを集められるんですよー!これで作業効率大幅アップ!わーお!御社も導入を検討するしかないのでは!?」
いらない。夜は寝る。
「それじゃ発明した人が報われないでしょお!?働けこの怠け者ー!」
なぜ、夜も起きる?
「それは長い時間働いて…バナナを集めるため…?」
ウホ、たくさん集めてどうする?
「バナナを集めなくていい日を作って…休む…?」
休むのは怠け者だ。ウホウホ。
「あ…あれ…?あれれ…?え?なにこれ?私ゴリラにレスバ負けるの…?」
バナナを食べよう、それで幸せだ。
「…まだです!まだ諦めません!さすがにゴリラにはまだ早いと思ってましたが、文明を発展させる切り札を出しまーす!」
ウホ、もう眠い。
「いいから聞いてください!お願い!ほら、これ見てこれ!手にとって!キラキラしててキレイでしょう!?これは貨幣っていって、流通を便利にするだけでなく幸福度の計測が…」
ブリブリブリブリ。
「人が話している時に脱糞すなーっ!えー…臭っ!なにこれマジで臭っ!!普段何食べてるんですか!?」
バナナ。
「はい、聞いた私がバカでしたー!いいですか!?お金は凄いんですよ!これさえあれば大抵の相手は言うことを聞いてくれますし!何とでも交換できます!相手の強さや幸せを計るパラメーターとしてもすごく優秀なんです!」
ゆうしゅう?
「そうです、ゴリラにも群れがあって、一番力が強いのがボスになりますよねー!でも文明社会では、力ではなくお金をたーくさん持っている人がボスになるんでーす!しかもお金を持っていれば持っているほど増える仕組みを作ることもできますから、これはもうすごいことですよー!」
ウホ、わからない。
それがあれば、何ができる?
「それはもう何でも!バナナを独り占めすることも、好きなメスと交尾しまくることも、ぜーんぶ思い通りでーす!」
ウホ、独り占めはよくない。
バナナは分け合うもの。
「独占すればいいでしょおおお!?そして飢えた他のゴリラを見下してゲラゲラ笑えばいいじゃないですかぁ!人類はそうやってるんですからぁああ!」
それは幸せなのか?
「幸せですよ!一部の人は!」
それでは争いが起こる。
「だーかーらー!そこで武器を使って殺し合うんですよ!あ!ほらほら、話が繋がったでしょう!?やった!私すごい!ゴリラより賢い!」
殺されるゴリラ、かわいそうだ。
「そうですねー!かわいそうですねー!負けたくないですねー!だからみんな努力して負けないように工夫するんですよー!そうやって文明が発展していくんでーす!理解しましたねー?はい私の勝ちー!」
争いはよくない。バナナ、分け合おう。
「この共産主義者ー!どこの世界に見返りなくバナナを配るゴリラがいるんですかー!?」
俺、バナナあげた。お前、食べた。
「………」
人類、不思議。自分たちをいじめるものばっかり作る。
「今日はこのくらいで勘弁してあげますけど、また来ますからね!その時こそ反論の余地なくゴリラに文明の素晴らしさを教えてやります!そのためには手段を選びません!そう!たとえばすっごい性能のチートアイテムを他のゴリラに配ってバトルロイヤルをさせるとかー!」
そんなものよりバナナを配ってほしい。ウホウホ。
「もうやだ!バナナとゴリラ以外のお話したい!ケルちゃんのとこ遊びにいくぅー!」
変なやつ、いなくなった。
俺、ゴリラ。今日もバナナ食ってウンコして寝る。
明日もバナナ食ってウンコして寝る。
幸せ。
許してください。
作者はどうかしてたんです。