一話 一世を風靡する世界
人間には二つの世界が準備されている。
一つは現実世界。
そして、もう一つは仮想現実世界だ。
この世には名前も二つあった。
一つは親と呼ばれる存在から名付けられる現実世界の姓名。
もう一つは生まれて十二年がたった後、仮想世界での生活をするために自らつけるアバターの名前。
人間が仮想現実の世界に行くためにはVR機というものを頭に装着しなければならない。
二千二十年世界全体で高度経済成長期がくると、二千五十年には世界の人口約七割がVR機を手にするという時代が来た。
そのころの日本では義務教育の方針が変わってきており、仮想現実世界での教育が取り組まれるようにもなった。
また、景気が良くなった日本では満十二歳以上の人すべてに国からVR機がプレゼントされるまでになっていた。
すると、国民は仮想世界での心地よさに惚れていた。
これまで腰を曲げて生活をしていたものは自分の新しい趣味を見つけ、これまで自分のコンプレックスに悩んでいたものはそれを解消する見た目を見つけ、これまでにできなかったことができる理想の居場所を人間は作り出した。
これを機に様々なサービス会社も仮想現実世界への進出に乗り込んできた。
これは世の中に旋風を起こすことなる。
仮想世界では誰もがゲーム感覚で楽しめるようにとランク制度や報酬制度、ギルド制度、ランキング制度などが組み込まれるようになる。
この魅力的な制度により多くのプレイヤーが参加することとなった。
また、報酬だけで生活をするプロプレイヤーも存在するようになった。
そして、このゲームに参加する人数は日本で九千万人を超えるまでに成長。すると、外国など様々な国もこのゲームに参加するようになる。
そして二千五十八年には世界の人口の半分もの人が仮想世界で生活するようにもなった。
このゲームには「セカンド・ワールド」という名前も付けられた。
その後、二千六十年にセカンド・ワールド略して「セカルド」に最強と謳われる人間が存在することとなる……