白の巫女と魔を使いし者と、水龍
「なるほど。そういうことでしたら、このガスバディーン、さえ殿の目的の場所までお供致しましょう」
なぜ、そのような話になったのか。
サエは、元々人付き合いが得意ではない。
なぜなら、他人との付き合いを制限されていた過去を持っているため、経験が無いのだ。
赤の他人である、ガスバディーンが同行することは、サエにとって望んだことでは無かった。
ただ、特別反対しているかと言われると、そういうわけでもない。
それはサエが、本当に、心の底からどっちでもいいと思っていることと、アイルが同行を勧めてきたからである。
「この筋肉は、まず純粋に力がある。今後役にたつであろう。そして、なによりこの性格だ。」
ガスバディーンは、サエの返答をただただ待っている。答えを急かしたりはしない。
それは彼が自称紳士であるため。
「サエに危害を加えることはないだろ。これでも、おれは水龍。人を見る目は確かだよ。」
アイルの話はガスバディーンには届かない。姿も見えていないのだ。
「街までの道案内人と、一般常識をこの筋肉紳士に教わろうじゃないか。」
アイルは笑みを浮かべながらサエに伝える。
サエは1度うなずくと、ガスバディーンに向き直る。
「それでは、ぜひともよろしくお願い致します。ガスバディーン様。」
「こちらこそ、こんなにも可憐なレディと共に旅ができるなんて、身に余る光栄!あと、我輩のことは、ディーンでよいですぞ。」
「わかりました、ディーン様。」
無表情でそう話すサエに、ガスバディーンは笑いながら、答えるのであった。
大きな巨体に、剣と盾を携えた、筋骨隆々の男が前を歩き。
腰まである白い髪をした少女が、その後ろを真っ白なワンピースを着て続く。
見える人には、その少女の横に1匹の狼が付き添っているのも見えるであろう。




