筍~春らんまんのタケノコほんわり甘く(新加筆、ボーナストラック)
さてあとは、桜を待つばかりと相成りました。こうなるとやはり、楽しみになるのは春の野から掘り出したばかりの筍でありましょう。我が地にも竹林を持つ知り合いが何人かおりまして、この時期はそろそろ筍だよね、とか筍いつ採るの~?などと顔を見るたびに、いやしい催促をしてしまいます。
スーパーのお惣菜は季節を先取りしてまして、この時期もう若竹煮などを出してきますが、やはり材料が昨年の水煮だったりするのか、今年の初採りとは風味が違います。筍の獲れ立ては、よく出来たトウモロコシのようにふんわりとわくわくするような芳香がして、事実甘みも強いのです。後味にえぐみ苦みが気にはなりますが、それも野性味と思えば、春の風情です。ふきのとうも菜花もつくしも、春の生命力は何しろ苦み。しかし冬に凝っていた身体中の悪いものがきれいに洗い流されるような、清らかな苦みです(*´ω`)
我が家では例年、初の筍は二種類の食べ方をします。もらった筍の育ち具合をみてそれを決めるのです。
まずそれなりに大きく育ったものは、片栗粉の餡を絡めた甘煮にします。他に具は何も和えません。筍だけを純粋に味わいたいからです。餡をまとった筍は表面しっとり、噛めばさくりと口の中で崩れて火が通っただけの筍の風味が余すところなく、引き出されます。口に当たるえぐみは、甘い餡で包むことでほどよくこなれます。
次に若くてまだ柔らかいものは、ホイルで焼き物に。若い筍の表面はほの白く、ホイルで蒸し焼きにしますとそれこそコーンのように甘いです。口当たりの食感こそ弱いですが、筍特有の苦みもえぐみも少なく、お醤油をかけるだけで十分です。新鮮な若い筍はわさび醤油でお刺身にも出来ますが、やはりえぐみが勝ちます。なので、我が家では少し熱を加えた蒸し焼きの方が美味しいな、と言う結論に至りました。わたしなどはこの苦みえぐみが好きで、育ち過ぎた筍などもばりばり噛んでしまうのですが。でもこの蒸し焼きの筍の香りはまさに、春らんまんな若草の風味が一身にこめられていると思います。
お供はもちろんお冷や、辛口の純米酒(最近は春鹿など美味しかったですが)をきんきんに冷やして、と言うのも良いですが、まだまだ花冷えで気温が下がる夜などは、ぬる燗や癖のない甲類焼酎のお湯割りなども良いところ。
春はすぐそこです。さあ、今年も美味しく来る桜を愛でませう☆




