はたやのくず餅~初夏の葛餅ぷるぷる
花冷えの季節が去って葉桜の若葉を涼しい風が渡るようになりました。まああと一ヶ月もすれば、梅雨のじめじめに悩まされるようになりましょうが、土を起こしたばかりの田に春の水が張られ、新緑も土の匂いも鮮やかなこの季節はやっぱり、一年のうちでいくつもない、一番過ごしやすい時期でございまして。
花見でお酒に凝るのも飽きた頃、涼しくビールや吟醸で夕飲みを楽しむようになると、しめには甘味が欲しくなります。あんこやチョコレートもよいですが重たすぎず舌にひんやり、ぷるぷるな感触の心地よい葛餅などは、中々初夏の涼には相応しいかと。
地元成田には『はたや』と言う名店がございます。ひょうたんの屋号が目印ですが、田舎屋の一角で売られるこの葛餅が中々逸品です。馬鈴薯粉や寒天などを下手に混ぜている葛餅などは足元にも及びません。ほどよく冷えかたまって歯を立てると、ぷるんとはぜる葛餅には、地味深い葛の風味。重たくないのに、しっかりと質量を感じるさすがの食べごたえです。
黒蜜にきな粉の定番で頂きますが、きな粉を少しまとっても、黒蜜はお刺身につける程度に。ほんのり甘い葛粉の味わいだけで、左党の酒飲みなどは、しめにも十分で。早い晩酌を済ませた晩、酔いざましの夕涼みに頂くのはまた格別です。通りすぎゆく春の桜を想いながら来る新緑の夏を楽しみに。今夜も乾杯です(`ー´ゞ-☆
(2016年4月24日掲載)




