滋味沁みる泥鰌(ドジョウ)の佃煮☆
忘年会の明くる祝日は、母方の実家へ参りました。101歳の曾祖母と80代の祖父母。車で出かけられなくなり、お正月の昆布巻きに入れる焼いたフナをどうにか手に入れたいと言うことで、老舗の佃煮工場に連絡して焼きフナを用意してもらいました。
体長15センチほどのフナをお腹にほんのり焼き色がつくくらいに焼いたやつを解して昆布巻きにして、甘辛に煮込むのです。
川魚が主要な地は、ウナギやナマズなどが名物で、都内から足を運ぶお客さんもいる老舗の名店などありますが、地の人間はやはり、フナ、田螺、鯉、ドジョウなど泥臭いのを存分に楽しまないと寒い冬を越す甲斐がありません。
小鯛ほどの大きなフナは甘露煮、田螺は佃煮、鯉は朝採りのまま売られているのを調理して楽しみます。特に新しい血のにじんださばきたての鯉は煮物に最適です。ですがうま煮の作り方は新年に譲るとして…
今晩はドジョウの佃煮を。柳川鍋にするそれよりは鯊のように小さめです。生姜と水飴をきかせて、煮込んだ佃煮です。海苔の佃煮のように真っ黒になるまで煮しめたドジョウは、泥の中にいたままの野趣あふれる滋味を感じさせます。
麦焼酎のお湯割りやぬる燗のお酒もよろしゅうございます。ですが真骨頂は、やはりお茶漬けかと。墨のように黒い煮汁をまとったドジョウはグロテスクですが、濃い目のお茶をかけてほとびた顔の小さなドジョウをじりりと噛んで、茶の湯と米をすする快感は中々のものです。
川魚の中でもねっとり癖のあるドジョウは、柳川もよろしいですが、佃煮も中々なもの。
白菜の古漬けがまた添え物で泣かせます。忘年会の二日酔いの〆に。今夜はお茶漬けで乾杯です(`∇´ゞ
(2015年12月23日掲載)