γ書き換え 共通①
私、元人間なんだけどトラックに跳ねられて、チーンってなった。
とりあえずまあ女神様のおかげでゲームの世界に生まれ変わった。
『このゲームを乙女ゲーム化してほしいの』
で、転生先のゲームっていうのが、神様達の世界でクソゲーとされるありがちなRPG物らしい。
なんでもそのゲームがつまらないから、適当な人間を転生させて女神様が楽しみたいらしい。
とりあえず私が行動すると自動で書き換え改訂されるらしい。
ノーマルエンディングの後はキャラを選んでendのたびにパラメーターリセットし、ゆくゆくは全キャラ制覇、大団円まで好きにやっていいらしいので、私は―――――。
『よろこんで!!』
こうして共通パートを終わり。次はキャラ選択に進むとしよう。
「……って、キャラいないじゃん!」
普通は原作ゲームのシナリオとか事前にサラッと出すべきじゃない?
《まあほら、これから自分の足で歩いてればバッタリ会うでしょ》と女神様が言った。
「そっか……そうだよね。会わなきゃゲーム進まないもんね」
私はとりあえず。森にいく。ベタにモンスターに襲われて助けられる展開を狙うのだ。
かれこれ30分彷徨いたのだが、いっこうにモンスターに襲われない。
「モンスター出ないんですけど」《女神の加護じゃね?》
そうだ。女神様が私の背中にへばりついてるんだった。
「なんか喉かわいた……」
ちょうど目の前に、綺麗な泉がある。飲みがてら休憩にしよう。
「……普通に飲める」
「勝手に水を飲んだなニンゲン!」
人魚の男の子がこちらを睨み付けている。
「いやーごめんね。喉が渇いてそこに水があったから」
とりあえず謝っておけばなんとかなるっしょ。
「謝ってすむなら戦いなんて起きねえんだよ!」
「戦いって理由なく起きるもんじゃない……?」《おーい……ナナコ。いまそんなこと言ってる場合じゃないぞ~》
イケメンじゃない人魚たちにかこまれている。
「やっべーぞ!」
絶対絶命かと思いきや、突然泉がぶくぶくわいた。
「マイームマイム~」
「はぐれモンスターだ!」
さすがRPG。リアルなモンスターが現れた。
私の背中には女神様がついているが、こんな装備で大丈夫だろうか。
「はっ!」
どっからか現れた人がモンスターに攻撃した。
《あいつはたしか》
「女神様知ってるの?」
《魔王の娘が勇者になるアレで最初はルート化予定だったのにキャラ数定員の都合で書神にモブ化されたやつ》
「シビア……」
「君、怪我はないか?」
「あ、はい」
「……(なんかじっと見られてるな。もしや俺に惚れたのか!?)」
《よし、ささっと移動しよ》
「え、でもイケメン人魚少年と勇者って貴重なメインキャラじゃ……」
《ちっ……まあ勇者は数あわせにするか》
あまりものが場所が違えば必要になるとは不思議だ。
「あーつかれた」
《よーしここらで休みがてら、小話でもしてやろう》
「えー」
《あの人魚美少年の名前はメルキーくんだ。取説に書いてある》
「なんかミルク飴みたいな名前だね」
《ちなみに元ネタはセルキー。神記録によればアザラシとかトド系で好色。オスはブッサイクらしい》
「ゲームの設定作った神様、元ネタを皮肉ってるんだね」
《さっきの勇者はもう話したからいいか……ああ、あいつは吸血鬼らしい》
「なんで吸血鬼が勇者なんてやってんの!?」
《勇者は別に吸血鬼がなっちゃいけない設定はないからじゃない》
「それはそうなんだけど……ふに落ちないんですが」
《さーて休憩終わり》
「話すだけ話て全然休んでないのにもう!?」