10(完結)
縄梯子の最後の段に足をかけ、地面に足を降ろしたあと、ジョアンは崖の上にいるゴズに向かい、大きく手を振った。
ゴズが斧を振り下ろすと同時に、頂点で切断された縄梯子が宙を舞い、崖の下に落ちて山になった。
「父さん! 」叫んだのはゴズの息子だ。その声を聞いてか、ゴズは斧を高く掲げ、祝福の十字を切った。
一行はゴズに見送られ、出立した。歩き、遺跡を遠くに望む辺りまで来たとき、遺跡の前でクリネイが大きく手を振った。
クリネイの家族と、他のいくつかの家族が加わり、一行の人数はちょうど倍になった。
それを見たルイが不安そうに言った。
「ねえ、ジョアン。僕たちは肌の色のことでずっといがみ合ってきた。違う色の者たちで、これからうまくやれるだろうか? そして、これから混血が進んだとき、僕たちは何色になってしまうんだろう」
「構わないさ、ルイ」ジョアンは答えた。
「俺たちはあるがままに生きよう。黒だろうが白だろうが、茶色や灰色や、もし他の色になったとしても、俺たちは同じ生き物だ。共に助け合い歩こう」
ルイ、クリシュナ、クリネイ、そして共に旅立つ仲間たちは、その言葉を聞いて顔を見合わせた。
黒い顔と白い顔が向かい合い、どちらからともなく笑顔が零れ、そして一行は笑いながら旅を始めた。
ジョアンはかつて老人に白い人々を恐れなくてもよいと言われている。
反乱を成功させ、上池のほとりを奪う。美しいクリシュナを妻とする。クリシュナを除いた全ては、池に身を投げてしまう
上池のほとりは美しく、狩りに出なくとも食べものがある
上池のほとりで生まれた初めての子は、白い姿をしていた
村の皆は喜ぶ。歴史学者のレインは恐れる。
ジョアンはある日崖の下を除き、自分たちがかつて暮らしていた村に、白い人々の生き残りが住み着いているのを見る
ジョアンとクリシュナの子は、茶色の姿をしていた
ジョアンは訝しむ。クリシュナは語る、かつて教えを乞うた黒い老人のことを。彼は古い時代のただ一人の生き残りであった
上池のほとりに住むものは弱くなり、下池のほとりに住むものは強くなる
いつか上池は下池の者に奪われ、そして下池のほとりにはまた上池を乞うものが住む
そして歴史は繰り返す、いつまでもいつまでも
私たちはかつて、茶色の同じ種族であった。
ジョアンはクリシュナとその子を抱き去る
上池よ、下池よ、私たちは去る
上池の美しさも、下池の厳しさも、私たちにはもはや必要がない
お前たちは眠るがいい
いつかその罠にかかる獲物が訪れるまで
その牙を磨き眠るがいい
私たちは去り、そして二度と戻らない




