プロローグ
主人公のモデルは9割作者。
午後七時。ゴールデンタイムと呼ばれる、放送業界で視聴率が高くなりやすい時間帯に今年もまたある番組が陽気な音楽とともに流れ出した。
その名も「不細工救済!ブサイク・コロシアム」
老若男女を問わず国民は皆、その番組に夢中になる。視聴率は68%。オリンピックをはるかに上回る数字だ。
『さあさあ今年もやってまいりました!日本中から集められた選りすぐりの不細工達による、人生をかけた大勝負!!汚くて醜い、だがどこか美しい・・・・・・、そんな熱いバトルが今、始まろうとしております!!司会は私、マルテレビアナウンサーの藤井でございます・・・!!』
灰色のスーツで礼装したアナウンサーは、高いテンションで司会を進めていく。
そんなテレビの画面を三十代の母親と、四十代の父親少女、そして高校生の少女が心配そうに見つめていた。
「お兄ちゃん、大丈夫かなあ?これで負けちゃったらヤバいよねえ」
少女は苦笑いした。母親はそんな少女に
「大丈夫よ。きっと。私とお父さんの子だもん」
と笑顔で言った。少女は「だからこそ心配なんだよー」とため息をつく。
「そう心配するな。悠真なら大丈夫だ。必ず勝ってくれる。俺とそう約束したからな」
父親は誇らしげに言った。
「あら、お父さん。あの子が最近あなたとの約束を守ったことあったっけ?」
「あ、あるわ!お前が知らないだけだ!ほら、もう始まるぞ!」
『さあそれでは開催いたしましょう!総人数二六十七人による、人生逆転ゲーム!ブサイクコロシアム!開幕でございまあああああっす!!』