K氏の妄想
K氏の妄想。
彼は云う、「僕は死ぬのは怖くない。何故なら、僕はQ一族の子孫だから。」、と。
Q一族とは、大宇宙の支配者らしい。神様的な存在である。それは、かの有名なアメリカのドラマ『スタートレック』に出てくる Q一族のことである。
彼はかの有名な宗教法人S学会の二世である。生まれながらにしてS学会の信者である。幼少期の頃は、S学会に反発し、信じてはいなく、活動すらしていなかった。
両親は、熱狂的な信者であった。
父と母は、一世である。お互いに惹かれあい、結婚し、S学会の信者であることを初めて知った。
K氏が生まれ、K氏は、親と一緒に2歳の時から両親のお経を聴いていた。最初は訳も分からず、何をしているか分からなかったが、両親の唱えるお経が子守唄となっていた。
話は、遡り、ビッグバンから始まる。大宇宙ができて、太陽が生まれた頃からの話である。時空には、数々のビッグバンが存在し、沢山の太陽系大宇宙銀河体ができた。それは、計り知れない数の銀河体である。それは自然という神様が創り出した産物である。最初は、星という物ができて、気の遠くなるような計り知れない時間が経ち、生命が誕生し、自然という神が生まれた瞬間である。それは3次元というこの世の話である。4次元空間には、天界の世界が存在し、いわゆるあの世がある。天界の世界では、全ての銀河体の往き来ができる。あらゆる星という星に行けるのである。それがあの世の世界である。ありとあらゆるパラレルワールドに飛んでいける。それは、時空をも超え、どの時代にでも行けるのである。そして、生まれ変わり、生命となって存在できる。それは、全部の動物、人間も含め、なんの生命体に成れるのである。
K氏は天界から地球という星に生まれた。それは、何度も生まれ変わりしているらしい。前世があって、そのまた前世があって、地球に生まれるのは2度目らしい。K氏の話によると、人は生まれ、亡くなると、天界に行き、裁きを受ける。その裁きによって、次の転生先を決めることができるらしい。
話は変わり、K氏は統合失調症である。K氏は31歳の時に発症した。それは、K氏によると、現世におけるストーリーのコードだったらしい。K氏は結婚をし、子供をもうけ、営業マンの仕事をしていた。才能に優れ成績は良く、普通に暮らしていた。
しかし、その才能に溺れ、仕事に対して横着になり、仕事中も休んでばかりいた。「営業マンは、成績さえあげていればいいんだ」、と思い上がり、家族のことも放ったらかしにし、遊ぶ日々が続いた。しかし、そんな日々は長くは続かなかった。神の裁きが下りたのだ。
次第に成績は下がり、スランプとなり、上司のプレッシャーを受けた。基本的に真面目な性格の彼は、自分を追い込んだ。その結果、寝ないで悩むようになった。
そんな日々が続き、神々の指導により、精神分裂を発症した。一時的に自我が崩壊した。それは彼にとって、夢から醒めた大人になったような瞬間であった。今までの行ないを悔い改めたが、もう既に遅かった。会社からはクビを宣言され、家族をも離れていった。
でもしかし、両親だけは違う。暖かく見守った。病院にも行き、薬を服用し、そんな日々が過ぎていった。仕事は出来なかったが、障害年金を貰い、生活していた。
病院のデイケアにも通った。だいぶ良くなったK氏は、10年後にできた障害者雇用としてA型事業所に通いだした。賃金は少なかったが、障害者年金と賃金で充分、暮らすことはできた。
そんな日々も10余年続き、還暦を機に仕事を辞めた。
両親が亡くなり、相続でお金が入ったからだ。今は、再婚すら出来はしなかったが、友人にも恵まれ、幸せな日々を暮らしているという。
そんなK氏は云う。「今振り返れば、試練はあったものの、良い人生だった。」
それは今世における人生の自ら決めたストーリーだったらしい。K氏は云う。
「来世は、家族を大切にするもっと幸せな人生を楽しみたい。」
彼は死後、天界に戻り、次へのステップを考える。何が一番、幸せなのか。様々なストーリーを楽しむことだろう。
この話は、彼の人生と妄想の話である。
私は思う。そんな事が出来るのだろうか。未だに信じられないが、私にとって死ぬのが怖いという恐怖が少し和らいだ気がする。
ここで、読者の皆さんに問いかけたい。今の人生は前世から組み込まれたストーリーだと。その事を理解できるか、できないか、によって大きく変わってくるだろう。今の人生を精一杯、生き、天命をまっとうしてもらいたい。
あと、もう一つ。悪より善は強し、なのだ。
K氏の妄想




