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親友の友達、私のクラスメイト  作者: 秋羽


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9/9

わたしの幼馴染

目を閉じても幼馴染の顔が鮮明に映される。

 一緒に過ごした時間は誰よりも長い。

 彼女のことは彼女自身よりも知ってる。



「はぁ…ばか…」


 彼女は自分の幸せを見て見ぬふりをする。

 口では楽しければいいというのに、彼女は時々寂しい目をする。


 昔の彼女はもう少し能天気だった気がする。今は勘のいい能天気だけど。


「はぁ、人って成長しないんだね」


 何度目のため息か。

 普段ため息を吐くことなんてない、彼女のことになると頭を悩ませる。


「あの、そろそろどいてくれないかな」

「可愛い妹と一緒にいたくないの?」

「どんだけいる気だよ」


 ここは姉の部屋で、姉のベッドに横たわってる。

 姉との仲は超がつくほどいい。というより一方的な溺愛を受けてる。

どんなわがままも大抵は受け入れてくれる。


「みさきの家に行ってなにしてたの」

「お説教」

「はぁ?!喧嘩?」

「うそだし、冗談だし」


 お説教ではない。選択肢を与えただけ。

 今度みさきがどういう未来を選ぶかは分からない。

 私はみさきの歩む未来が必ず正しいかどうかは分からない、けど歩んだ先に正解があると信じてる。


「お姉ちゃんから見てのみさきってどんな?」

「まあ、すけべな変態だね」

「それただのやばい人じゃん」

「間違っては無いと思うけど、、」


 たしかに間違っては無いと思う。実際そうだし。

 ラフなみさきを見るとただの変態なんじゃないかって思う。

 でも聞きたいのはそれじゃない。


「みさきって私よりも1歩先に大人になるくせに、大人になろうとしないよね」

「難しいこと言うね、みさきは自信に溢れてるのに自分を信じないから」

「お姉ちゃんこそ難しいこというじゃん」


 人は必要な時に必要な人と出会う。


 これを教えてくれたのはみさきだった。

 この言葉を聞いた時は衝撃を受けた。

 たしかにそうだと思う。

 私はみさきとの出会いは必要だと思ってる。

 産まれる前から出会う未来だった。


 だからこそ、七瀬とみさきの出会いは必然でも偶然でもない。

 きっと、2人にとって必要な出会いなんだと思う。


 お姉ちゃんは手を止め、ベッドの横に座ってくれた。私が悩んでるときも隣にいてくれる。


「宮下とかいう人?」

「宮下七瀬ちゃんです」

「あんたも大変なことしてんのね」

「頼まれてないけど、面白いじゃん」


 我ながら性格悪い。だけどこれは手応えがある。

 あのふたりは似てないようで似ている。

 くっつける以外選択肢はない。

 見え見えの感情垂れ流されるよりずっと面白い。


「でもそれ、恋愛感情の確証あるの」

「あります、舐めないで欲しい私の第六感を」

「あ、ぁ当てにならない…」

「まあ、それは冗談として、あれは恋の前兆だから」


 普通の恋ではないことを自覚して気付かないふりをしている美咲。

 人を好きになることが分からないから本心に気づけない七瀬。


 この3ヶ月2人を地味に観察し続けた私に間違いはきっとない。絶対にない。


「そもそも恋だと自覚されたら私の第六感は腐ってることになる」


 自覚してるのに自覚させようとしたら私は邪魔でしかない。


「監視カメラか盗聴器つけていいかな?」

「いい訳ないよ、妹を犯罪者にはさせたくないよ」

「仕方ない、部屋から観察するか」


 部屋からならみさきの家も見えるし、カーテン閉めてなければリビングもみさきの部屋も微かに見える。


 姉は今頃妹の愚行をどう止めてればいいのかと頭を抱えてるようだ。


「恋は何ヶ月で仕留める方がいいんだ」

「仕留めるって言わないの」

「今年中を目標に、来年は3人同じクラスがいい」


 私だけ違うクラスなのが動きづらいし、状況が分かりづらい。


 今年残り5ヶ月。

 必ず、ミッションは達成させる。


 この恋、楽しい。


 私の親友はさすが私の親友だ。

私を飽きさせない。


 中学の時は失敗したけど、今度こそハッピーエンドにする。

まかせてね、みさき。

楽しませてね。


「中学の記憶消してあげたい」

「殴って記憶喪失とかやめてよ」

「え、それいいじゃん、なんで思いつかなかったんだろう」

「やばい、私余計なこと言っちゃったかも」


 中学の恋愛話なんていつか忘れる。

 そんなおめでたい話、あるわけない。


 何度考えてもみさきの元彼を殴りたい。あの時殴ればよかったと今更後悔してもしきれない。


「これはみさきの元彼の存在消せばいい?」

「あかんって。」

「あんなやつ存在していいわけない」


 美咲を裏切ったくそ野郎。

 今度あったら生まれたことを後悔させる。


「怒るのはわかるけど、みさきも吹っ切れてるからいいんじゃない?」

「吹っ切れてる訳ないでしょ、あんなことされて」

「エロ漫画では定番の話だけどなぁ…」

「お姉ちゃん、今書いてるデータ消すよ?」

「待って!?それはやめて、明後日締切なのに!」


 漫画じゃないんだからそんな定番あっていい訳ない。


 みさきの元彼。

 一個上先輩だった男。

 美咲を裏切って、二股かけて美咲を捨てた男。

 女も女だ。美咲が浮気相手みたいにしやがって。

 殴っても殴り足りない。


 私は思い出すだけでイラついてしまう。枕を抱きしめ、姉の頭を掴んだ。


「みさきに変なこと吹き込まないでくれる?」

「変なことって失礼な…ちょっとディープな保健体育教えてるだけなのに」

「変な扉あかせようとしないで欲しい」

「いた、い。扉は勝手に開くものだ、い、たい。」


 姉は痛そうにもがいてる。それもそのはずで私は姉のこめかみを強く押してる。

 なんかしらのツボだろうから、感謝して欲しい。


「みさきに激重感情向けるの良くないっす…」


 私はさらに力を込めた。

 そのまま床に倒れるように押した。


「今日お姉ちゃん床で寝て」

「え、わたしのベッドなのに」

「おやすみ」



 私はみさきの幸せを願ってる。

 ただそれだけの事。


 布団をかぶり直し、電気もリモコンで勝手に消した。

 姉は諦めたのか、床でモゾモゾして毛布を取り出して、被っていた。


 お互い孤独だと思うから、人を愛せない。

 そう思うようになってしまうのだろう。


 人を愛す前にお互い自分を愛して欲しい。


 七瀬からは毎日のようにメールが来る。その中にはみさきについてのメールも多い。


 誰がどう見ても興味がある人の仕草で、健気だと思う。



 ただみさきは少し違う。

 彼女の性格は誰よりも知ってる、みさきの親よりもみさきのことを知ってる自信がある。

 みさきは去る者は追わず、来る者は拒まずの性格だから。

 判断が難しい。


 きっと今のままだったら軽く押しただけでみさきは頷くし、このまま七瀬が離れても何も言わないし、その場から動かない。

 それだと意味がない。


 今の私にできることはみさきに選択肢を与え、選んでもらう。それが最善の策だと思う。


 幸せの形はひとつじゃない。

 ただ、みさきが笑って楽しかった。って言ってくれたらそれだけでいい。


 できることならササッと付き合えやごらって言ってやりたい気分だ。


 私の出番なんて少なければ少ない方がいい。


 2人だけで解決して欲しい。どんな結末が待っていようと私はみさきの隣にいる。

 それだけは変わらない事実である。


 こんな過保護な考え方もみさきを前に進むのを阻むのだろう。それは自覚している、だけど、今はまだ私の助けを求めて欲しい。


 私のわがままに付き合って欲しい。

 私の唯一無二の親友ちゃんなんだから。

 私の代わりなんて存在してはいけない。

 存在していいのは私の代わりにみさきを笑わせて、楽しませてあげれる人。

 私にはできないことをしてあげて欲しい。


 私は別にみさきのこと恋愛対象として見てるわけじゃない。

 私の大切な家族だから、幸せになって欲しい。


 ほんとにそれだけの事。


 ――こんな面白いこと、逃す訳には行かないでしょ。

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