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親友の友達、私のクラスメイト  作者: 秋羽


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第5話

 明日は鷹野さんの誕生日らしい。

 私は昨日知ったし、本人からの情報じゃない。


「お疲れ様でーす、今日用事あるんで先にでまーす」


 午前中わざわざ部活をしに学校へきて、一生懸命頑張った。

 午後は違う予定があるので、いつもは呑気に喋ったりのんびり片付けしてから学校を出るところ、急いで学校を離れた。


 鷹野さんの誕生日プレゼントを買いにショッピングモールへ足を運んだ。

 どんなものを買えばいいかもまだ考えてもいない。

 鷹野さんはなんでも似合う、なんでも似合わす力がある。


「ターコイズブルーって…難しいよ」


 昨日鷹野さんの幼なじみに好きな色を聞いたから間違いないけどターコイズブルー。

 緑でも青でもない。おおよそその間の色。それにターコイズブルーのハンカチはなんだか目がチカチカする。

 いくらなんでも似合う鷹野さんでもこれは良くない気がする。


 改めて鷹野さんの容姿を頭に思い浮かべ。

 綺麗な黒髪は肩に当たるぐらいの長さで前髪はふんわりしたセンター分け。

 おでこが出ていて顔の綺麗さ際立つ。


「そもそもブランド物の方がいいのか、」


 こんな庶民派のハンカチよりもきっと似合うし、持ってて欲しいような気がする。


 ――誕生日プレゼント…


 ため息が出る。こんなにも悩ましいなんて思わなかった。


「いっそボケに走る?」


 鷹野さん変なもの好きみたいだし、適当に雑貨屋に入った。


 変なものと言えるほど変なものはなかったけど、動物の柄やワンポイントでカワウソの刺繍とシンプルな淡い緑のハンカチを3枚購入した。


 せっかくなので梱包もしてもらった。


「気に入ってくれるといいなぁ」


 プレゼントを通学カバンに入れ、近くのカフェに入った。


 カフェはひとりで来るほど好き、雰囲気もだけどシンプルにコーヒーや紅茶が好き。


 今日は紅茶の気分だった、チーズも注文し、端のひとり席に通してもらった。


 ぼんやり考え事が膨らむ。


 鷹野さんってなんなんだ。

 気になるというより、考えてしまう。

 いっそ連絡しようかな。


 そんな勇気ないことは誰よりも自分が1番知っている。


 ふと元カノのことが過ぎる。


 七瀬って私じゃなくてもいいよね。


 その一言がずっと心に刺さる。

 決してあの子の事が好きじゃない訳では無いのに。

 気にしてないと思っていけど、心のどこかでは傷ついてる。

 私は矛盾だらけの人なんだ。


「面白い事ないかなぁ…」


 落ち着かない心を落ち着かせようと紅茶を1口飲む。


 そういえばどうやって渡そう。


 お互い学校で喋ってはならない。そんな野暮なルールはない。

 だけどお互い話すことは無い。同じクラスなのに。

 目を合わすのが精一杯の会話。


「ロッカーに入れればいいじゃん…ばかすぎる」


 何をこんなにも考えていたのか、生徒玄関ローファーから上履きに履き替えるためにロッカーが存在している。

 置き勉出来ように教科書置くスペースもあるからそこに置いておけばいいじゃん。


 何も難しい事じゃなかった。


 わざわざそれで連絡するのもなんだか気まずいというか。恥ずかしい気がする。

 手紙にしよ。


 喜んでくれると嬉しいな。


 明日のことを脳内で予行練習をして、テーブルにあるケーキを紅茶をお腹に落とし込む。


 帰り道はぼんやりしながら歩いてた、高校生活を振り返って、今がある。


 改めて思う。私はつまらない人だ。

 それなりに仲良い友達もいて、それなりに学校生活を楽しんでるいるはず。

 友達もやんちゃとかではないけど、愉快な人ばかりだ。

 なのに私はその環境に馴染むことなく、1歩後ろから眺めている。

 きっと友達みんなそんなことは思っていないくて、私のことも仲間だと思ってくれている。


 私はその輪でいつも受け身な会話しかしない、それは自覚がある。

 それが楽だし、楽しい、それについて責められることもないから甘えてる。


 今のままでいい。変わらない日常が1番いい。


 ――ほんとにそうだろうか?


『私は七瀬の彼女だよね?』


 元カノに言われた言葉。そんな不安にさせるようなことをした覚えはない。心当たりあるとすれば、距離感が友達と一緒ぐらいだろう。


 特別が分からない。ようやく恋人は友達と違うって理解が追いついたのに。


「鷹野さんには気楽に話せるの…」


 鷹野さんと他の友達とは何が違うんだろう。


「雪も普通に話せてるけど、何かが違う…」


 雪と鷹野さん2人ともかなり気楽に色んなことを話せる。

 2人にはなんの違いがあるのだろう。


 出会った時間の差。


 思いつくのはこれぐらい。


 深いため息を漏らし、家に戻り寝る準備を済まして明日のことを考える。


 喜んでくれるかな。と心配が心をざわつかせる。

 落ち着くはずのベッドも落ち着かない。


 ただの友達に誕生日プレゼントを渡すだけなのに、なんでこんなにもそわそわするのか。


「寝れないなぁ…」


 待って、そもそも鷹野さんっていつも何時に学校行ってるの。


 それが分からないとロッカーに置けない。

 鷹野さんが私より先に学校にいるならこのプレゼントは放課後まで気づかれない。

 特になんの問題もないけど、せっかくなら朝一番に見てほしい。


 えぇ…聞くしかないかな。

 いや、待て、雪と一緒に学校来てるはず。それだけは確か。


「とりあえず雪に聞こ」


 メッセージを打つよりも電話の方が早いと枕元にある携帯に手を伸ばし、雪に電話をかけた。


 3コールで出てくれた。どうやらまだ寝ていないようだ。


「なに?」

「いつも何時に学校着いてる?」

「8時20分」

「わかった、ありがとう」

「…言っとくけど、美咲のロッカー鍵付いてるからね」

「……え?」

「何する気か分からないけど、おやすみ」


 勝手に電話を切られた。

 寝る前の雪はいつもよりテンションが低い。それもそうでテンションが高いままでは寝れないだろう。

 そして何をしようとしていたのかもバレていた。


 ロッカー…確かに貴重品とか入れてる子もいるから南京錠をかけてる生徒がほとんど。

 私は特に盗まれても困るようなものはないから鍵をかけていない。そのせいですっかり忘れていた…


「振り出しに戻っただけじゃん…」


 どうやって渡せばいいかな。そんなことを考えていたらそろそろ寝ないとやばい時間になった。


 明日考えればいいやなんて、適当なことを考えていい訳もなく、まだ悩み続けている。


 もう、昼休み呼び出す?

 そんな告白する訳じゃないのに…なにしてんの私…


 呼び出すにしろどこで…雪の教室…いいじゃん


 雪の教室なら友達もいないし、たまたま偶然雪に用事で行ったら鷹野さんがいたっていうことにしても問題なさそう。


 もっかい雪に電話…時間を見て諦める。


 明日の朝連絡しよう、そして明日鷹野さんにも連絡しよ。


 楽しみになってきた。

 友達にプレゼントを渡すだけでもこんなにも楽しいんだ。


 思わず口角が上がってしまう。鷹野さんに渡すのが待ち遠しい。



 翌日、雪に仕掛け人なってもらったのはいいけど、何故かパフェ奢ることになったのはまた別の日。

 少し納得いかないけど、鷹野さんに無事渡せたし、また遊びに行く約束もした。

 渡すまでに少しドタバタ劇もあったけど、トータルで考えれば大満足。


 でも鷹野さんの首にネックレスが増えてた。

 いつもはそんなの付けてないのに。誰かからのプレゼントなのだろうか。

 だとしたら気になる。


 彼氏…じゃないといいな。


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