美少女生徒会長の秘密を俺だけが知っている
放課後の生徒会室。窓からはオレンジ色の夕日が差し込んでいる。
今生徒会室にいるのは俺と、生徒会長の高嶺凛華だけだ。
凛華は学業、スポーツ、容姿、どれをとっても完璧な才色兼備の美少女だ。
今もその長い黒髪を風になびかせながら、姿勢よく背筋をピンと伸ばして書類に目を通している。
凛華の制服の胸元に目をやると、昨日までの記憶にあるよりも明らかに膨らんでいる。
記憶ではもう少し穏やかだったはずだ。
「……なあ、凛華」
「ん?何かしら?悟」
凛華は書類から目を離さずに答える。
「その……なんだ、今日なんかいつもと違うような」
凛華は書類から顔を挙げて、俺を見つめる。
俺と凛華は、とある不運な出来事をきっかけに彼女の「秘密」を共有することになった仲だ。
すらりとしてモデル体型の彼女だが、その制服の下には分厚いパッドが隠れている。
徹底された完璧な隠蔽工作によって学校内で知るのは俺だけだ。
「気づいたのね、これは最新の高級パッドよ。昨日買ったの。手触りから質感、重さまで、本物と見分けがつかないわ。もはやこれは本物といっても過言ではないわね。」
「本物って、それ着脱式だろ」
「……なっ!うるさいわね!パッドで何が悪いのよ!」
彼女はそう言って胸を張る。
「私だってこの小ぶりな胸の成長が追い付いてくれると信じてるんだから!って誰が小ぶりな胸よ!!」
「言ってねえ!」
そんなこんなで凛華の熱弁を聞いていると、生徒会室のドアがコンコンとノックされた。
すぐさま今まで何も話してなかったかのように言葉を止めた凛華が「どうぞ、はいって」とドア越しに声をかけた。
ドアが開くとそこに立っていたのは女子生徒だった。
「あの、すみません凛華先輩。私、保健委員の佐藤です。実は保険の先生から昨日の健康診断の件で至急確認したいことがあるそうです。」
凛華の顔からさっと血の気が引いたような気がした。
それでもさすがというべきか、すぐに平静を取り戻して答えた。
「連絡ありがとう。すぐに向かうので先に戻っていて」
「はい、では失礼します。」
女子生徒がドアを閉めて出て行ったのを確認すると、凛華はパニックになりながら言った。
「昨日の健康診断の件で確認したいことですって……?食生活にも気を使っているし、運動もしているし、私の健康状態には何の問題もないはず。もしかして私の胸がパッドだとバレたの!?どうしよう悟!」
「落ち着けよ。だからいっただろ健康診断のときくらいパッドはずせって」
「外せるわけないじゃない!私、スタイル完璧な美少女生徒会長で通ってるのよ!周りにほかの女子生徒もいるのにそんなことしたら私がパッドだって気づかれてしまうかもしれないじゃない!そんなことになったら生きていけないわ!」
「落ち着け。ただの記録ミスかもしれないだろ」
「胸囲だったら?」
「胸囲だったら諦めろ」
「悟、お願いよ!私を助けて!もう私にはあなたしかいないのよ!先生の記憶を消す方法を考えて!」
「できるわけないだろそんなこと!」
「じゃあどうすればいいのよ!もうおしまいだわ……」
凛華は涙目になりながらも観念したのかそのまま保健室へと向かった。
俺はまるで処刑台へ向かう罪人を見送るような気持ちでその後ろ姿を見送りながら、なぜか俺が悪いことをしているような気分になっていた。
最悪の場合は被害が最小限になるように尽力してやるか……。
数十分後、保健室から凛華が放心したかのような表情で戻ってきた。
まずは状況を確認しようと声をかける。
「どうだった?」
「視力検査をした結果が残っていなくて、追加検査になっただけだったわ。昨日の私を恨みたい気分よ。」
「まあ、秘密がバレなくてよかったじゃないか」
「そうね……。私の学校生活が台無しになるところだったわ」
凛華はやっと安堵したように息をついてゆっくりと椅子に腰を下ろした。
そのとき、凛華の制服の胸元がズルりとずり落ちた。
「きゃっ」
凛華は顔を真っ赤にして胸元を抑えた。
「……見た?」
「……見てない」
「本当に?」
「ああ」
「パッドでない私の胸は見る価値もないってこと!?」
「なんでそうなる!!」
「……はあ、まあいいわ、今日はもう疲れたわ。ねえ、悟」
「どうした?」
「来週の体力測定って、反復横跳びがあったわよね?」
「……ああ、あるな」
「対策が必要ね……いざというときは頼んだわ、悟。」
こうして今日も俺だけが知る美少女会長の秘密はなんとか守られたのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今まで読み専でしたが書いてみたいと思い挑戦してみました。
結構書いたつもりでも2000字未満で、こんなに書くの大変なんだ…となりました。




