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ものがたりが始まらない  作者: あたま大盛り
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神の過ち

ゾーンというやつを知っているだろうか。

限界を超えて集中していつもよりすごいパフォーマンスができるやつだ。


世界のトップレベルで活躍するアスリートやアーティストは、自分の意思でその状態になれるらしい。

対して僕はといえばそんなすごい人たちはとは程遠い。

十把一絡げとか烏合の衆とかそんなことがお似合いな凡百の一般人だ。

誰かに聞くまでもなくそうだと自分が知っている。


そんな僕がゾーンというやつを体験した。

それはちょっとしたきっかけ。

いつもはスマートフォンに落としている視線がスマートフォンの充電を切らして普通に前をみていたこと。

それですぐ目の前を小さな女の子が横断歩道を渡ろうとしていることを認識した。


いつもは高性能なノイズキャンセリングを搭載したイヤホンを外していたこと。

それで異様な音出して猛スピードで走ってくる車を認識した。


この2つを併せて、そのままだと目の前の女の子が死ぬのだろうと思った。


ニュースでやっている事故のことなら聞き流せているのに、

いざ目の前でそんな状況に起きた時、どうにかしなくてはと思ってしまった。


普段なら思ったとしてもどうにもならなかったはずなんだ。

凡人の僕は何もできず、ただかわいそうな女の子が目の前で事故にあって死ぬというトラウマものの光景をただ見るしかできなかったはずのだ。


なのにゾーンとかいうよくわからん奴のなったおかげか、なってしまったせいか。

なんだか世界がスローモーションに見えて体がよく動いた気がする。


動けずにいたはずなのに、数歩動いて女の子と車がこないところへ押し出すことができてしまった。

その報酬は女の子の無事だった。

でも、代償に僕が車にひかれることなった。


ゾーンに自分で入れるようなすごい人たちならば目の前の誰かを助けて自分を助かるような、そんな最善の未来をつかめたのだろう。

でも、凡人の僕には無理だった。それだけの話だ。


体中が痛くてどこが痛いのかももうよくわからなず、意識が薄れゆく中でそんなことを思った。


*


意識が途切れたと思ったら、真っ白な場所にいた。

周囲を見渡してみるがただ真っ白だ。

地面とか壁とか区別ができないくらいただただ真っ白だ。


ふと目の前に何かがいることに気が付いた。

さっき助けた女の子に雰囲気が似ている気がした。


「私は死後の案内員。

あなた、死にましたよ。」


「まあ、そうでしょうね。わかってます。」


「ごめんなさいね。わたしを助けようとしたばかりに、、、かわいそうに何かしてあげられたらいいのだけれど」


これは夢にまで見たあれなのか!

神様のミスを補填するために!!

「剣と魔法の世界に転生ですか!?転移ですか!?

チート!!ハーレム!!チート!!ハーレム!!」


「ああ、そういうのはないです。

哀れではありますし、あなたの世界の創作にあるようにまだ剣や魔法で敵と戦っている平行世界はあります。

でも、創作のように人知を超えた力を与えて、別の世界に送るなんてことはありません。

何しろ神はこの結末すら知っているのですから。」


「えっ」


「あなたも知っているでしょう?

神は全知全能であると。

全知とは、我々にとっての過去、現在、未来、その区別すらなくすべてを知っているということ。

我々には知りえないすべての個の始まりから何か起きて何を思いどのように終わるかまで知っているということ。

そんな神が個を哀れだなどと思うことなどありはしない。

哀れだと思うのは神ではない、全知ではないただの案内員の私。

そして、案内員にはその世界の輪廻を回すことのみ。他の世界に転生させる権能などありはしない。」


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