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いじめられっ子の僕が  作者: 西村
7/7

勇者を全力で支える会

 ーマーク王国王城のとある会議室ー


 「皆のものよく集まってくれた!これから、第1回勇者を全力で支える会を始める!司会は発起人の国王プリップが務める!」


 国王の挨拶で会議が始まる。


 「おーおー。こんなに気合の入った国王は久しぶりだや!」

 「そうだのう。どれぐらいぶりか……」


 国王の向かいに座る3メートルの身長、お腹はズボンの裾に乗るほど出ているが、その手足は幅1mとオーガに負けないほどの発達した筋肉。しかし、いかつい体格とは違い人の良さが滲み出た笑顔を浮かべる。王都西門守護隊「水龍」の隊長を務める「シューサク・ニシノ」(50)語尾にだや!が着く。


 その右隣に座るは、王都東門守備隊「骨砕き(ボーン・クラッシャー)」の隊長を務める「チェン・ロウ」(80)

仙人を思わせる足元まである白髪、皮と骨のヨボヨボの体、しわしわの顔、眉毛と髭も白く両方とも乳首の高さで毎日手入れをして統一している。座右の銘は、「とにかく粉砕」。普段は優しいが、たいていの問題を力で解決しようとする。後、戦闘になると訓練でも「ファック・〇〇」は当たり前。


 「全く……早くしろ!研究の成果を発表したくてうずうずしているんだ!」


 うずうずしているのは、王宮専属技術者「ネイサン」(70)

「アーク」にドワーフはいないが、この世界で唯一ドワーフにそっくりの見た目をしている。お酒は、「手が震えた時しか飲まん!」

アルコール中毒者。


 「それで議題は?」


 あまり持ち場を離れるわけにはいかない。という責任感から会議を進めようとする南門守備隊「紅蓮」隊長「リナ・ブラントン」

先日、中央広場に駆けつけた美女剣士。綺麗すぎて遠くから愛でるのが1番とファンを公言していない隊士が多いが、王女の「ミナ・マーク」と並んで、国中の男の間で行われている「MKB(マーク美女)総選挙」で同率1位の座を争っているが、本人は、自分の容姿の良さに気がついていない。


 特に会議名につっこむものがおらずに話は進む。


 「うむ。これから先の勇者殿について真剣に話し合いたい。皆も聞いている通り、先日の魔物侵入の際には、見事な手腕で逃げ遅れた住人を指揮し、ゴブリン10体、そして単独でオーガを撃破された」

 「伝説の勇者とはいえ、Lv.1でオーガを倒したのには驚いた」

 「オラもだや」

 「私は、実際に目にしましたが、技術は稚拙でしたが、風魔法を発動されていました。あの様子からすでにスキルレベルは「Ⅴ」だと思われます」

 

 リナの発言に、


 「そんなことがあるのか!」

 「Lv.1ですでに5だと!」

 「ありえない!……だや!」


 国王とリナ以外の3人は驚きの声を上げる。


 「そうなのだ。すでに強大な力を手にしている……だが、技術がそれに追いついていない。このままでは、彼自身が耐えられなくなる。そこで、しばらくの間は修行に専念してもらおうと思う。そして、その師匠には、リナ、君にやってもらいたい」


 国王は、勇者の師匠にリナを指名する。


 (なぜ私なのだ?他に実績、指導経験ではたくさんの兵士を育て上げたシューサクさんの方が適任だと思うのだが……)


 「なぜ私なのですか?」

 

 リナはストレートに国王に問い返す。

 

 「うむ。君は過去に、1人で抱えきれずに1度潰れたことがあるね。勇者殿も君と同じだ。優しいゆえに1人で抱え込んでしまう。だから、この中で唯一その経験のある君に頼みたいんだ。頼む!」


 国王は頭を下げる。


 リナは勇者に助けられた住人達が話したことを思い出す。


 「勇者様もオーガを見て怯えていたのに向かってくるオーガに対して身をていして守ってくれた」

 「おにいちゃんのおかげで、ぶじにママにあえたの」

 「勇者様がゴブリンから守ってくれた。知恵を使えば自分たちでも戦えるんだと教えてくれた」


 (住人の中には、守られてるだけではダメだ!自分の守りたいものは自分で守る!という意識が芽生えて兵士の訓練に参加するものまで現れている……こうして振り返ってみると確かに困っている人を見かけると反射的に身体が動いてしまうタイプだ。それは同時に、優しすぎて1人で抱え込まなくていいことまで抱え込んで潰れてしまうタイプだとも言える……)


 「……わかりました。力の限り務めさせていただきます」


 熟考の末に、リナは承諾。


 「ありがとう。シューサク、チェンもサポートをよろしく頼む」

 「はい」

 「んだや」

 

 2人は快く了承する。


 「さて、次は、勇者殿の存在についてだが……どの道いつかのタイミングで魔王に存在を察知されることは間違いない。しかし、そのタイミングは勇者殿が、充分に成長してからの方がいいと私は思うのだが、皆はどう思う?」

 「ふむ。そうですな。いち早く勇者の情報を掴んだ魔王が潰しに来ないとも限らないですからな」

 「そうだやな…酷だやが、日に日に攻めてくる敵の数が多くなっている以上、1ヶ月後のフレバンス攻略作戦時に魔物を生み出す魔法陣を破壊することは急務だや。そして、その魔法陣を破壊できるのは、闇の天敵の風でしか破壊できないだや。それまでにオーガの群れを倒せるくらいには強くなってもらうしかないだや」

 

 (勇者殿。すまない!)


 国王は勇者に謝る。


 「勇者殿には酷だが、できるだけのことをしよう。リナ。よろしく頼む」

 「は!お任せを」

 「さて、次はネイサンから話があると聞いているが、詳しくは私も聞いていないからよくわからない。ネイサンの方から説明を頼む」


 アル中の技術者は、やっと出番が来たと気合を入れるために一口薬(酒)を飲んでから席を立ち上がる。


 「皆のものついてこい!」


 立ち上がったネイサンは、部屋を出ていく。


 「?」


 みんな知らされていなかったが、とんでもない発明をしてくれた。後に、その威力にみんな茫然と立ち尽くした。

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