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3ー魔剣士と買い物


 聖女召喚の次の日。


 セブンは俺の事を気に入ってくれたみたいだ。

 昨日助けた事で少なからず害がないと判断してくれたようだ。


 この想いだけで本が一冊書けそうだが、今はやめておこう。


 俺は午前中の間にセブンと話し合って、街へ行く事にした。

 俺の服を着せてブカブカな服を着た幼女様を拝みたいとは思ったが、メンズ臭の服を着させるなど、俺には出来ない。


 血まみれのボロボロの服も良くはないのだが…………。

 無いものは無い。だから買いにいくのだ。



 買いにいくのはいいとして、こんな格好のセブンを、騎士の男どもに見せる訳にはいかなかった。

 毎日筋肉をきしませ、男汗(おとこじる)で笑い合う騎士には、幼女セブン様は刺激が強すぎる。


 セブンにとっても毒でしかないだろう。


 本能をむき出しにした者は、何をするのかわからないのだ!

 決して俺がひとりじめしたいとか、よこしまな考えではない。



「久々だなルーク」

 俺は隠密魔法をセブンにかけ、気付かれないようにしていた。

 だが、城を出ようとした時、後ろからを肩を叩かれた。

 振り返ると、そこには黒塗りの鎧を来た女性が俺を見ていた。


「その娘は誰の……それにその服についているのは血か?」

「ちょっ、静かにっ」


 俺は彼女を確認すると、とっさに口をふさいだ。

 ただの騎士にはバレなかったが、やはりというべきか。


 リズ・クラインベルトには見破られてしまった。


 彼女は魔剣士。俺の元冒険者仲間だ。

 その空を移したような青い髪や、青い瞳は冒険者で評判の美人だと言える。


 だが、まだまだ足りたいのだ。

 なにが? 女子力ならぬ幼女力がだ!


 まぁ真っ直ぐな性格や、剣や魔法の腕は見込んでいる。

 現にその実力を買われ、たまにだが国からの依頼もこなす冒険者なのだから。


 それにしてもバレてしまったか。

 このくらいの上級職ならバレて当然なのだが、正直、会いたくはなかった。


 俺は静かにするように伝え、頷いたリズを確認すると手を離した。


 セブンをどう説明する。

 聖女と言うか?

 昨日さぁ召喚しちゃった! テヘッ。何て言えないぞ。


 何よりリズは、俺が幼女の第一人者だと知っている。

 ならば今はてきとうに切り抜け、聖女だとわかりしだい訂正すべきだろう。


「えーっと、師匠の子供だ」

「大賢者様の?」

「そうだ。ちょっと預かって欲しいとの事で、城の人には内緒で頼むっ」

「大賢者様は結婚されていないはずでは?」


 ギクリッ!

 あまり人の事を気にしないリズが、なぜ師匠の事を知ってるんだ?


「あっ、あー。リズ、これは深く考えてはいけない事だ。意味は…………わかるな!」


 リズは深刻な顔をしてこくりと頷いた。

 俺の圧で不倫か何かと悟ってくれたようだ。


「くれぐれも! 内密にな!」

「わかった。今見た事は、胸に秘めておこう」


 師匠…………なんかすみません。

 まぁセブンがバレてはしょうがない。

 ついでに少し情報を貰おう。


「そうだリズ。一つ聞きたいんだが……」



 血の事に関しては、トマトとイチゴをぶつける競技の練習だと伝え、イチゴの先端があまりにも鋭く服が裂けてしまったと説明した。


 こんな事を信じるのは、この世界でリズだけだろう。 

 今度その競技を私にも教えてくれと言われたが、俺もしらん。


 あまり長い間話している訳にはいかないと、俺達はわかれた。



 セブンは人見知りしないと思ったがそうではなかった。

 リズを見て、俺の後ろで隠れたまま、一言も話さなかったのだ。もしかしたら、魔剣が怖かったのかもしれない。

 リズは悪いやつではない。また会う機会があれば紹介してやろう。


――――。



 王都は物流の中心地だけあって、買うものには困らない。

 女性用、しかも幼女サイズの物を売っている店は知らなかったが、リズがオススメのお店を紹介してくれていた。


 幼女専門店…………ぅん? 言い方がおかしいな。

 子供服専門に扱うお店ではないが、生地が特殊で着心地と丈夫さが売りの店へ入った。


 カランッカランッ。

「いらっしゃいにゃー」

 扉を開けると客は誰もいないかった。

 これは都合がいい。

 猫耳の女主人が、ニコニコと見ているだけだった。



 ふっ、だが俺にはわかる。

 まだセブンの魔法は解いていないのだ。

 男一人で女性用の服を買いに来た、危ないやつだと思っているに違いない。

 女性に自分の好みを押し付ける野郎だと!


 なら早く誤解を解かないとな。

 俺はそう思い、女主人の元へ足早に行った。


「悪いが、少しだけ店を閉めてくれるか? 一緒にやってほしい事がある」

「にゃ?」

「金なら、ここにある」


 ドンッ。

 懐から溢れそうな金袋をカウンターにおいた。

 女主人は顔をなぜか赤らめ、俺の顔と金を交互に見る。


「わ、私にほれたにゃー?」


 勘違いしているんだ?

 店を閉めて何を俺がしようってんだ!

 大丈夫かぁこの人。


「この金で服を買いたいだけだ。ただ少しだけ貸し切りにしてほしい。その分に合う服を買うから」


 顔の赤みはとけ、商人になった女主人はゴクリッと喉をならした。

「わ、わかったにゃ。で、どんな服にゃ?」


 先に店を閉めてもらい。魔法をといた。

 これでセブンの姿もわかるだろう。

「おんなのこにゃ? ってこれ血? にゃ?」


 クッ。やはり血に気づくか。

 俺はまた苦し紛れのトマトとイチゴの競技について説明するのだが……。

 そんな競技があるなんて知らなかったにゃ。で終わってしまった。おめでとう、君が世界で二人目だよ。


 リズと友達かはしらないが、類は友を呼んだのだろうか?


 まぁこちらとしてはありがたい。

 そうして服を買うことは出来るのだが……。


 セブンの服が決まらない。試着するがどれも素敵だ。

 全部買ってもいいのだが、流石に持ちきれない。

 なにより本人が着るのだ。セブンが決めるのが一番いいだろう。


「セブンは何か好きな色とかあるか?」

「んーとねー。しろー」

「気になる服はあるか? 何でも買ってやるぞ」

「わかったー」

 少し探して、セブンは戻って来た。

「これー」

 俺に見せる服は今までと違ってシンプルなワンピースだ。血塗られた物とよくにている。


 セブンは白と、ワンピースが好き。記憶しておこう。


 試着したセブンが出て、俺は目を細めた。

 さすがだ。主人。

 服の良さもさすがだが、セブンの姿をさらに輝きが増したようだ。


 はぁーたまらんぜよ! たまらんぜよ!


「この服をあるだけ貰おう」

「全部ですにゃ?」


 俺はうなずいた。



 また来てくださいにゃと女主人に言われたが、悪いがまた来ることはないだろう。



 これで身なりは整った。

 司祭にも連絡して、王との謁見は明日にでもお願いしよう。

 聖女セブン様の御披露目だ!


 それにしても、今日はいい買い物をしたな!

トマトとイチゴを投げる競技?


少しでも面白いと思えたら

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