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紡いで解けて天に咲って  作者: 翠雨すい
1/1

―Prolog―

前書きがよく分からないのでとりあえずなんか書きますね。どうも、翠雨すいと申します。初めまして。えー、っと、初投稿です。別に、病気だからって命の大切さとかいう綺麗事の塊を押し付けるわけでも説教するわけでもないし作者そういうの嫌いなので、まあ楽に気軽に読んでいただけたらなーと思います。はい。それでは、どうぞ。

──Prolog──








side,紬


「あれがつなちゃん達の新しいお家かぁ。ここから新生活の第1歩が始まるんだね…!」


目の前にある無駄に大きな建物を見て緤は無邪気にそう言った。きっと誰がどうみたって、これから重い病気で入院する人達には見えないだろう。


「あのなぁ………」


一息置いて僕は叫んだ。


「引越しに来たんじゃないんだよ僕らは!入院!!見てこの入院バッグ、重いんだから自分のくらい持ってよ!」


昔からマイペースな性格の緤は面倒臭い事は全部僕任せなのだ。そのせいで僕の両肩は既に悲鳴をあげている。それなのに、


「えぇ〜つなちゃん重いのやだぁ…」


なんて言って逃れようとしている。こうなったらもう意地でも持とうとしないのは目に見えていたので、僕は1度バッグを下ろして伸びをした。


こんな調子でやって行けるのか、先のことは誰にも分かりはしない。少し不安げになった表情を察してか、緤は、バッグを持ち直した僕の体の前に、きゅっと握った白い拳と不安の入り交じったような変な笑顔を向けた。


「つむちゃん、これからがんばろーねっ」


緤の声は、震えていた。


「……言われなくても。」


拳をこつん、と突き返してそう言うと、


「つむちゃんならそう言うと思った!」


と言って病院の中へ歩き出した。心做しか、少し声が明るくなったような気がした。











「すみません、今日から入院予定の織部です。案内お願いします。」


「はい、織部双子さんね。ニ四五号室です。案内するから、少し腰かけて待っていてね。」


カウンター越しに説明してくれた看護師さんは、僕らの部屋の担当さんだったらしく、病室まで手際よく案内してくれた。途中部屋の説明もしてくれたが緤は鼻歌を歌ったり小さい子に手を振ったりと聞いていなさそうだったので僕は忘れないようによく聞きながらついて行った。


「ニ四五号室、こちらになります。先程も言いましたが、お兄さんが窓側、妹さんがドア側のベッドです。」


僕は重い荷物を下ろそうとベッドに近づく。と、


「つむちゃんみてみて!ベッドだぁー!!」


「はいはい良かったね、って、なんでダイブしてんのバカ!!!」


そうだった。こいつは本当にバカなんだった。でもベッドを見た途端飛び込むとか思わないじゃん。普通。病院だよ?高校生だよ?今どき小さい子でもやらないわ。でもさ、こいつはやっちゃうんだよなぁ。


「あの、お取り込み中悪いんですが、」


頬を抓る僕に話し掛けたのは、さっき案内してくれた看護師さんだった。


「その、ベッド、逆じゃないですかね?」


視線をベッドに戻す。間違ってはいないはず。だって、『お兄さんが窓側』『妹さんがドア側』って言ったもんね。でもこんなことを言うということは、多分お互いが性別とは掛け離れたような装いをしているからであろう。


「ん〜?あってるよ〜。だってお兄さんが窓側妹さんがドア側、なんでしょ〜?」


「あの、僕が妹で、あれが兄なんです……すみません、紛らわしくて…」


割と分かりやすく説明したつもりではあったがやはり返事は、


「はい?」


だった。こうして始まった僕らの入院生活だが、出だしがこの調子だと、上手くやって行けるとは到底思えなかったのだった。











そもそも事の始まりは数週間前。ある晴天の日の事だった。


緤が、吐血した。


吐血といえば、血を吐く、という事なのだが、その時の僕には理解が追いつかなかった。血を、吐く。口から血が出る。単純なその言葉が、目の前で苦しそうにする兄の姿が、全く信じられなかったのだ。普通なら救急車を呼ぶだろう。一刻も早く、親に伝えたり、病院に電話をかけたり、するだろう。だが立場が立場。その時の僕には「何も」出来なかった。気が付くと、


「へへ、ごめんね……つなちゃんは、大丈夫だよ…」


と、口を拭いて、そのタオルを血が見えないように包んで捨てる緤の姿があった。あと少し、あとほんの少し。それまで、我慢してくれ。そうすれば、何も気にすることなく、病院に行けるのだから。そう必死に願っていた最中。緤が血を吐いた、2日後の事。双子は、何でも被ると聞いていた。好きな色や嫌いな食べ物、トイレのタイミングまで被るらしい。が、何も症状まで被ることは無いだろう。そう。自分も、血を吐いてしまったのだ。バレないように、声を殺して血を吐いた。トイレの便器に顔を填めた。正直、死ぬかと思った。『死ぬかと思った』って、普通に生活していたら結構使う言葉だと思うのだが、本気で生と死の境を迷っていた。こんな下らない事を考えて気を紛らわせ、全ての処理を終えた後に2人でこっそり話した。此処を出よう、と。


幸い、部屋は早くに見つかった。前々から遠く離れた所に行きたいとは考えていて、2人で、遠くの高校を受験した。ここからは遠いが、高校からは近い。なかなかいい所だと思う。貯金と、あとはバイトをすれば、何とかなるだろう。その前に、この状態で生きていけるかすら分からない。まずは、病院に行こう。2人で、生きていこう。酷く苦しかったあの夜に、震える手で、誓った。




やはり、異常が見られた。




入院することになったので、大家さんに相談しに行くと、荷物を置いておくだけなら家賃は5分の1で良いよ、と言ってくれた。ありがとう、大家のおばあちゃん。


病院内でも、話は広がっていた。双子で、それも同じ病気で入院することになるとは、かなり珍しい。それは自分でも思っていた。初めて血を吐いた夜は本当に苦しかったし、それは今でも変わらないのだが、これが慣れというものなのか、初めての時より多少はマシになっていたと思う。本当に多少。いや、ほんのちょびっと。ていうか初めての時ってなんかいやらしいな。と、とりあえず、治るかどうかは別として、夜中でも医者がそばに居るというのはとても心強いものだ。いつ死ぬか分からないのは誰だって同じだが、その幅が狭まった今、本当にいつ死ぬか分からなくなってしまった今だからこそ、頑張ろうと思えるのである。




なんてことを考えていたら、ぼーっとしていたようで、看護師さんに心配されてしまった。


いや、自分語りとかする奴いるけど、我ながらキザな回想だったな。


「つむちゃん大丈夫?はいっ、これ!着替えて!!」


真新しい薄緑の服を緤に手渡され、改めて自分の入院生活が始まることをしみじみと感じてしまったのだった。

どうも、翠雨すいです(2回目)。プロローグ、楽しんでいただけたでしょうか。まぁここまで読んでくれる方作者以外にいるなんて思ってないのでふざけたこと言いますね。(読まなくていいです)

歪みに歪みまくった作者の性癖をめきょっと詰め込んだ作品がこちらになります。病気持ちも双子も男の娘も男装女子も吐血も大好物です。更にやばいこと言うと、綺麗な白い太ももの裏をカッターで切りつけたいとか考えちゃうような人です。危ないですね。だって、白い肌に赤い血がつーーって垂れるの綺麗じゃないですか……。

ふざけすぎました。程々にします。妄想癖もかなりやばくて、既に続きとかも考えてあるので連載作品になるかと思われます。作者だけが読んで作者だけが楽しいやつですね。はい。黙りまーす。

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