表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アオハルシリーズ

頑張る男の子

作者: 青井はる

ほぼ会話だけ。

時間割を見たら、次の授業が歴史で、そのさらに次が体育だった。

俺はサボりを即決して、サボりスポット屋上にやってきた。

屋上には先客がいた。


「あ、関君。サボり?」


笑顔でそう聞いてきたのは屋上サボり仲間の和菜ちゃんだった。

部活仲間の山下と同じ6組の子だ。

彼女とは同じクラスになった事はなくて、ここ以外で会う機会も無い。

俺のクラスが歴史→体育コンボの時間割の時、6組は体育→数学コンボになるらしい。

体育はだるいし数学は嫌い、と和菜ちゃんは言う。

それで、サボる時間がかぶる事が多くなって、最近はすっかり仲良しさんだ。


和菜ちゃんは美人で髪が綺麗で笑顔がすごく可愛い。

俺としてはそろそろデートにでも誘いたいところなんだけど、なかなか隙が無い。


「君に会いたくなって来ちゃった」

「そうなんだ?」


くすくすと笑う和菜ちゃんは本当に美人だ。


校庭からピッって音が鳴った。

あ、そっか、6組が体育をやってるんだ。

和菜ちゃんは校庭をじっと見てる。


「ねぇ、関君?」

「ん?なになに?」


校庭を見ながら、和菜ちゃんは続ける。


「関君はどうして体育出ないの?」

「えー、そりゃ面倒くさいし疲れるのは部活だけで充分だからさ」

「それってさ、もったいないよ」

「へ?なんで?」


和菜ちゃんはやっぱり校庭を見たまま。

何を見てるのかちょっと気になって手すりから身を乗り出した。

徒競走のタイムの測定をやってるっぽい。

山下がこれから走ろうとしてるのが見えた。


「例えばさ」

「うん」


体育教師が笛をピッ、と吹くと、山下が走り出した。

真面目に走ってるなー。早い早い。


「たとえば、たまたま校庭で体育してるときに、たまたま屋上でサボってる女子がいて、たまたまその子が校庭を見てて、汗だくで走ってる男子の姿にたまたま心を奪われちゃうって事もあるわけですよ」

「・・・へ?」

「私ね、目がすっごくいいんだ。ここからでもおでこの汗見えるくらい」

「・・・へ!?」


和菜ちゃんの色白のほっぺに、赤みが差してる。

目線の先には、汗だくで走ってる山下。


「えぇえぇええ!?!?」


にこ、っと和菜ちゃんが笑う。

ああ、なんて可愛いんだろう。


次の体育の時間には俺も授業に出て、汗だくで走ろうと決意した。

自慢の視力で俺の雄姿を見ててくれるんでしょ?


和菜ちゃんは汗フェチ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ