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3/5

フェイズ3

 

「うおぉぉぉっ! すっげぇ!?」


 周囲の景色が一瞬にして緑色の草原へと変わった!

 俺が引きこもっている間に技術はここまで進化したのか!?

 草土を踏む感触まで本物そっくりだ!


「おいっ、なに飛び跳ねている?」


「んっ、わりぃわりぃ。そんじゃさっさと先行後攻決めてゲームを始めようか」


「先行、後攻? ブレイドリンクにはんなもんねぇよ」


「えっ、まじで!?」


 おいおい、カードゲームなのに先行、後攻ないとか……どうやってゲームを進行するんだよ?


「いいからカードを引け。そうしねぇとゲームが始まねぇんだよ」


 既にゴリマッチョは5枚のカードを手に握っていた。

 なるほど、ブレイドリンクの初期手札は5枚なのか。

 俺の相手に倣って5枚のカードをデッキから引く。

 え~と俺の初手は……っても初ゲームだから良いのか悪いの判断つかねぇな。


 いつの間にかポケットに入っていたカードと背面が同じという情報以外なにもわからない。

 記載されている情報は、カードの名称にその横にあるA、B、Cという位分け(ちなみに初手はCが3枚にA、Bが1枚ずつ)、それに中央にはでかでかとイラストが描かれており、その下にはカードのテキストが表示されている。

 カード単体のスペックは攻撃、防御、体力、スピードの4種類が打ち分けられており、それぞれ強、中、弱という3パターンで区分されている。


 攻撃とか数値で具体的に表記されていないのか……。

 それに、俺の手札にあるカードは全部外枠が黒で統一されているけど、これってそのカード単体の属性かなにかか?


「俺様から行くぜ! 狩猟犬バウント・ドッグガルムと白頭狼を召喚!」


 マッチョゴリラが手札2枚をクロノギアのディスプレイ画面に叩きつける。

 すると、彼から少し離れたところに魔法陣が展開し、黒と白の犬が召喚される!

 犬といっても俺の知っているものの二倍の体躯を誇り、立派な前足に長い胴体、真っ赤な眼光に巨大な顎、と人間により改造された魔犬みたいな見た目をしていた。

 チャーミングさの欠片もない、魔物そのものだ。


「っておい、初っ端から2体同時召喚かよ! 遊●王でも通常召喚は1ターンに1回しかできないのに……」


 と、やつが魔犬を召喚すると同時に俺のクロノギアが作動し、俺の目線の高さにスライドを映し出す。

 そこには例の魔犬たちのカード情報が記載されていた。


狩猟犬バウント・ドッグガルム】

 ランク:C

 属性:闇

 攻撃:中

 防御:弱

 体力:中

 スピード:中


狩猟犬バウント・ドッグ白頭狼】

 ランク:C

 属性:闇

 攻撃:弱

 防御:弱

 体力:弱

 スピード:強


 なるほど、カードの詳細はこうやって確認するんだな。

 黒い犬がガルムで、白いのが白頭狼か。

 カードに描かれたイラストと実際に登場した本物とを照合する。

 さて、相手はどうでる?


「……」


「……」


 ゴリマッチョの出方を窺うこと数分。

 召喚された魔犬も静かにお座りをして待機し、一向に動く様子をみせない。


「って、テメェさっさと精霊を召喚しやがれ! ゲームが始まんねぇだろ!」


 またしてもゴリマッチョがキレた。

 ほんと短気だな、あいつ。


「えっ、なに俺も召喚しないといけないの?」


「当たり前だ!」


 そうなのか……なら、とりあえずランクAのこいつでも召喚しておくか。

 ゴリマッチョがやったように手札のカード1枚をディスプレイに叩きつける。

 だが、


「あれ? 召喚されない?」


 ブーッ、という機械音と共に弾き返されてしまい精霊を召喚できない。


「おいっ、テメェ、なにをやっているんだ! そいつはAランクの精霊だろ! Bランク以上の精霊を2体コストにしなくちゃ召喚できねぇのも知らないのか!!」


「あ~なるほど! このゲームにもコストという概念は存在するのか!」


「テメェ、舐めてるだろ……もしくはブレイドリンクの知らない初心者か?」


「正解は後者かな」


 俺は手札にあったCランク精霊を召喚しながら答える。


「でも、安心しな。俺は最強のカードゲーマーだからよ。退屈させるような真似はしないから」


 さぁて、こっからゲームの本番だ!


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