097.銃之支配を奪い取れ(13)
ゲーム上の暴走キャラを扱いこなした経験は何度もある。
だがこうして自身が暴走状態になるというのは初めてだったからか、思ったほど上手く扱えていなかったのがもどかしい。
だがしかし、やっと拳を合わせ見切りを覚え、練習操作が終わったところだ。
喋りにくかった頬の筋肉も、全身に感じる痛覚も。
繊細な動きからダメージ判定までほぼ理解したといって良いだろう。
「せめて二人で協力しよう、な?」
「ふん、死なない程度に囮でもしておけば良い」
「ッカァー! そんなにボロボロになっても可愛げがねぇなぁ! 行くぞっ」
「命令するな!」
ルバーが左方向へ走り出したため、私は自然と逆側の右方向へと走る。
巨体は先に動いたルバーへとロックオンして正面に捕らえ続ける。
遠距離と見るや、巨兵は腕だけをルバーの動きに合わせると、突如カカカカカカカチャリと無数の銃が姿を見せた。
が、相手の初動で既に横跳びを始めたルバーは丁寧に無茶な空中姿勢にも関わらず銃を破壊していく。
逆の手は私を追尾して、同様にカカカカカカカチャリと同じく無数の銃を向けられるもルバーよりも幾分も早く巨兵の銃を破壊していく。
それでも、と。
圧倒的な数の銃を向けられているがゆえに、たった6発しか入らない銃では対処しきれず。
「ぐっ」
ルバーの体に次々と銃弾が……。
「ルバァ!(達成度ガァ!)」
叫びながらも、弾の雨をカスリもせず回避し続ける私。
リロード中に一気に距離を詰めると、再び拳同士のぶつかりあいが始まる。
ガインッ! と、轟音が鳴り響くも再び私は次の拳を繰り出す。
ガインッ!
そして、三度目。
ガインッ!
まだまだぁ!
ガインッ!
五発目の殴り合いの瞬間、再び魔法を使ってくる気配を感じ私はピンアウトをしながら後退した。
「はんっ、同じロジックったぁ芸が無いね? かかっておいで」
軽い挑発。
理解はしていないのだろうが、再び両腕を私へと向けると、無数とも思える銃が私へと向く。
流石にあの数の銃から繰り出される銃弾を躱す事は不可能である。
「良い運動になったわ、アデュ」
瞬間。
ズドンと暴発を繰り返す巨兵の両腕がやがて爆発を起こし、光の粒となり消滅していった。
「その手癖の悪さ、この目で見ると恐ろしいなぁおい! 俺の時も銃にゴミつめやがったが、あの時は本気でヒヤっとしたぜ?」
「解説どうも。そう平気な顔して生きてられると、心配して損した気分になるわよ」
全身で受けた銃弾を防弾チョッキに絡ませたまま、ルバーは私に笑いかけるのだった。
さぁ、AI君の待つ四階層へ足を踏み入れるとしよう。




