096.銃之支配を奪い取れ(12)
ロボット。
逆関節のせいで短足に見える太い二本脚。
それはコンビニですか? と問いたくなるような箱型の胴体。
電柱三本まとめてみましたと言わんばかりの太さを持つ両腕。
胴体の上には剥き出しのコックピットにつくアンドロイド達は、それぞれ左足、右足、左腕、右腕を担当しているようだ。
そして真ん中に座る奴は両腕を斜めに広げ、ポーズをとるとグルンと変形してあっという間に頭部パーツになった。
『その両腕がアンテナ役になるとは不覚っ』
そんな事を思う暇も無く、相手はその巨体に似合わないスピードで距離を詰めてくる。
負けじと、その跳躍とほぼ同じタイミングで飛び出した私は拳を振りかぶる。
「なっ」
ルバーが何か言おうとしたみたいだけど、その言葉が私の鼓膜に届くことは無かった。
ガインッ! と鋼が硬い物と高速で接触した時の音が響く。
巨人の拳と、私の狂人化状態の拳が激しくぶつかり合っていた。
瞬間、体力の数値が1目減りする。
私の拳、軽くトンは超えているハズにも関わらず相殺どころか打ち負けているのか。
続けて反対の拳で打ち合う。
ガインッ、と激しい拳と拳の接触音が響くと同時に私の体力は再び1削れる。
「マジック」
突然、頭部部分となっていた機械騎兵から声がする。
瞬断。
拳を引き込み、わざと力負けをする。
その反動で一気に後方まで体を吹き飛ばす。
ゴウッ、と先ほどまで私が打ち合っていた場所を炎の柱が立ち上る。
魔法攻撃を回避したまでは良かったが、反動で後退している途中。
再び巨大な拳が横殴りに私に襲い掛かり、ギリギリ避けきれそうだったにも関わらず服が拳に絡まりそのまま服を破りながら私は壁へと叩きつけられた。
「きゃ」
悲鳴が漏れる。
服は破れ、体力は一気に5減っている。
まだ残り3ある体力に関係なく、激痛に一瞬気を失いかける。
だが、狂人化のおかげで痛みは痺れに切り替わり、立とうとする足が震えているにも関わらず笑みを浮かべてしまう。
「なっ、無茶すんな! せっかく一緒に来たんだろう? 俺にも出番くれや!」
そう言い、私の前に立つルバー。
銃を抜き、巨大な敵へと立ち向かう。
「かはっ、ば、かやろう!」
何とか声が出た。
私は思う、このままルバーが戦闘に参戦すれば間違いなく負けるだろう。
「実はな、俺はここでNo.2の実力があるんだぜ?」
ほら、こうやって死亡フラグたててくる。
だから雑魚は嫌いなんだ。
「私の遊びを邪魔、しないでくれるかな?」
「そんなか細い呼吸しか出来ない奴が、意地はるなって」
こいつ、全くわかってない!
これ以上評価を落とすのも癪だ、良いだろう。
「どけ、私だけで充分だ」
みせてやろう、No.1の力ってやつを。




