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083.王城攻略(6)

 人気が一切消えた廊下を外の様子見でも見ながら歩いていると、突き当りに見えていた階段まで到着した。これを登れば三階層となる。


 三階層、この突破が現在人類が誇るRLでの限界点。

 三階層はプロゲーマで突破可能、四階層で詰むというのが現状の情報だ。

 かくいう私も、時間不足によるリタイアを繰り返し三階層で遊んだ経験が実はまだない。

 AI君は三階層を経験していると言っていたが、実力上位者のAI君ですら四階層に足を踏み入れたという話を聞いていない。

 没入感の強化により、操作間からだのうごかしかたにハマリさえすれば四階層突破者も出てきているかもしれない。


 いや、人類といったが唯一人、攻略者が存在するんだったな。


「上にのぼるのも、階層判断になるのかなぁ?」

「私は難度は上がっていくと思うよ」


 純粋に王のいるべき場所に近づけば近づくほど、警備は固くなるだろう。


「ですよね。うん、ちょっと気合いれます」


 片腕を天に突き上げ、AI君は叫び出す。


「うぉぉぉ、無敵だーーー!」


 自己暗示ルーティングの一種だろう、AI君のそんなパフォーマンスを始めて目のあたりにして、私もああいうのをした方が良いのかしら、とそんな事を考えてしまう。


 突き上げた拳はそのままに、AI君は進みだす。


「やっと来たのかい、君たちは敵かい? それともルバーの言ってたようにただの迷子さんかな?」

「AI君、ここは私が出よう」


 ルバーの名が出てくるという事は、ここへ連れてきてくれた人物の知り合いなのだろう。

 ならば話くらいは聞いても損はしないと判断した。


「どうも、私はイクラという者だよ。ルバー君にはお世話になっているよ」

「お世話だと? まぁ良い、武装を解除して大人しく連行されてくれないかな?」

「ご生憎様、連行されるのは御免だね。それにアンタたちの王様に会ってみたいと思ってるんだよ」

「……ふん、王子は未だ戻られていない。大人しくしていればそのうち連れてきてやるから、武装を解除しろ」


 なんだ、未だに王様はダンジョン内に居るのか……それならば……。


「武装は解除しよう。ほら」


 手に取った銃を地面に落とすと、足で思いっきり蹴り飛ばす。

 どうせ残弾ゼロだから関係なかったりすんだが。


「やけに物分かりが良いじゃないか。動くなよ」

「残念、実は私、我儘で有名なんだよ」


 そういうと相手の静止の声を無視して歩き出す。

 瞬時に銃を手に取った相手は、私に銃口を向けている。


「そのまま歩き続ければ撃つ。私の射撃はこの距離からでも十分にお前を殺すことが出来る」

「試してみよっか?」


 肩をすくめそんな挑発をした時だった。

 私たちの背後から別の男の声が響き渡る。


「おいっ! 何やってんだよお前たち! ってか何か増えてるし、おいっ、お前だお前、イクラ! せっかく人が運んできてやったのに、恩を仇で返すつもりか!? アルボリー様、こいつとまともにやりあっちゃいけねぇ、話し合いだ! 話し合おう!」

「いや、ルバー。この客人達が一切話し合いに応じず一方的に暴れていてだな……」


 ルバーとアルボリーと呼ばれた男に囲まれながら、私は選択する。


「私はここの王様と会話がしてみたかっただけだよ? 本当だよ。ちなみに何か得るものがあれば勝手にさせてもらっている」

「勝手にするなよ馬鹿野郎!」


 んー、叱られてしまった。


「ん、申し訳ないね。それじゃ、王様の部屋でお喋りでもしましょう」

「だぁ……アルボリー様、許可を」

「ルバーがそこまで言うとはな……良いだろう、ついてこい。だが貴様、後ろから撃つなよ?」


 そんな卑劣な事私はしな……いや、良くするか。


 取り合ず適当に頷いて見せると、バックスタブをかましたくなる衝動を抑えながらアルボリーの後をついていった。

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