070.世界最強之挑戦(6)
桃のひきつった顔が面白く、思わず携帯で写真を撮ってしまう。
子供だったならばまだ楽しめたかもしれないが、幼女といえど中学生の桃にとっては身構えてしまうのは仕方がないのだろう。
「あの、あのぉ……本当にここであってるんですか?」
未だ混乱の残る中、震え声で確認する桃は高級ホテルの高層階から大阪を一望している。
ここは大阪が誇るグランフロンティアの19階にある空之食卓。
「今日は晴れていて景色が良いな」
「そうね。でも、思ったよりも人が多かったのが失敗だったわ」
「ふふ、綾君。その割には朝からシャンパン片手にやる気満々じゃないか」
「そうね。私、お酒の美味しさを最近知ったからハマってるのよね。シャンパンって、朝飲むと気分爽快で好きだわ」
「はぁ、酒が抜けている時の君は本当、優雅というか華憐というか。テレビや雑誌でみたイメージのまんまなのだね」
「あらあら。そういう菜茶さんだってテレビや雑誌で見かけたような私つええ感はまんまですね?」
シャンパンの入ったグラスとお茶の入ったグラスが軽くぶつかるとカラン、と軽い音を立てる。
「「ふふふ」」
私達は乾いた笑いを上げながら、桃を他所に勝手に盛り上がる。
「ぁぅ、何で私がここに居るのよぉ」
「そうだよ。そこなんだよ桃君」
「だよねぇ? 私、なんで貴方達とプライベートで素で話せちゃってるのかしら?」
私のお腹からぐぅ、と可愛い音けど大きな音が会話を遮った。
奇跡的にも、綾君からも大音量のソレが聞こえた私たちは軽く頷く。
「桃君がお腹を空かしているので食事にしよう」
「ええ、桃ちゃんがお腹空かしているものね、さっ、取りに行きましょう」
「なっ、何か私がおな」
「「行こう」」
朝食はバイキング形式の為、私たちは好きなものを好きなだけ皿に乗せテーブルへと持っていく。
私の目の前には肉と米と天ぷらに松茸の吸い物、そして冷ややっこに加えデザートにヨーグルトにブルーベリーソースたっぷりとかけた。
後はドリンクにアールグレイを用意して準備は万端だ。
うって変わり、綾君は一口ずつ取ってきた麻婆豆腐、焼売に角煮、エビチリにユーリンチ、八宝菜にサンラータンスープ、そしてこれまた一口分のチャーハンである。
朝から中華三昧とは、和の食を選べばいいものを。ドリンクは引き続きシャンパンボトルで攻めるらしい。
そして桃のさらにはミックスピザにタラコパスタ、ハンバーグにカレーライス。
ドリンクはオレンジジュースと、なかなかに良いセンスをしていた。
「はぁ、この吸い物は落ち着くな」
「くふぅ、からうまぁ」
「ぁゎ、このピザめちゃ美味しいです」
私が吸い物に口をつけると同時に、二人も食事を開始した。
駅弁も美味しかったが、やはり弁当一つじゃ物足りないのだからしょうがないよな。




