068.世界最強之挑戦(4)
「さて、どうして私はここに居るでしょうか」
自問自答。
孤独ゆえの、独り言が自然と溢れ出てくる。
だがしかし、今回のコレはしょうがないだろう? 何故私は目的地の真上にある家の前に立っているのだろうか。
そして、何故私は自然と財布を取りだし中にある見知らぬ鍵を手にして突き立てようとしているのだろうか。
「ふっ、回してみればわかるか」
普段であれば、家に入る前にはチャイムを鳴らすのが普通である。
普通じゃなければ、尚更チャイムを鳴らして住民にごめんください、〇〇ですがという感じで訪ねるのが普通である。
ならば、今は何だというのか? あぁ、これは『いつもの』感じで帰宅する、そんな具合である。
「邪魔するぞ」
礼儀とばかりに、そんな台詞をはいて見ず知らずの、何故か鍵を持っていた部屋へと侵入する。
短い廊下を数歩で渡りきると、リビングだろう部屋へ続く扉を開けた。
ガチャン。
カーテンで遮られた部屋の中は、パソコンのモニターによる明かりのみで照らされていた。
照らされているものを確認すると、丸テーブルに最近私もプレイしているRLのデバイス、そのデバイスの影にベッドがあった。
「ん、どっちから確認すべきか」
静かな部屋にリンと澄み渡るような綺麗な乙女声を出した私は、取り合えずパソコンのモニターを覗くことにした。
見ると、フリーズしたRL画面が映し出されている。
「いやはや、これはまさか」
NPC? 人型の敵? ともかく、RLの世界にプレイヤーに敵対しているであろう女性が映し出されている。
それも、手にはスクロールを発動させただろう切れ端が映っていることからも、敵から魔法を放たれた瞬間にフリーズしたのだろう。
では、この状態のままフリーズしているのならば、このデバイスの中に居るプレイヤーは一体何をしているのだろうか。まだ中に居ているのか? それともベッドで寝ている謎の人物がプレイを諦めふて寝でもしているのだろうか。
「先に中身を確認させてもらうよ」
私はそう言うとRLのデバイス、ダンボールの入り口を開放した。




