050.スペースユニバース(5)
後ろでジィ、と焼いてく肉を見つめるララに何となく尋ねていた。
「ララは料理とかしないの?」
「えっ? 私はその、料理はしたことがなくて……手料理なんて食べたのは、イイの焼いてくれた肉が初めてだよ」
おおう、あんな状況で初めての手料理を食べていただけましたか。
「料理なんてしなくても調理済の食べ物は支給されるし、ダンジョンに持ち込むのだって保存性の良いものしか選ばないし……」
「そっか」
それだけで会話は途切れてしまう。
換気扇をつけると、キッチンに漂う匂いがスゥとダクトへ吸い込まれていった。
「あああ……」
匂いが逃げただけで、何て声出しますか。
「もうちょっと待って下さいね。ウサギ肉、ちゃんと火通した方が美味いんで(たぶん)」
「うん」
そうこうして塩胡椒だけのシンプルなステーキを数枚焼いた時だった。
「ララー! いるんやろー! あけぇ、あけなー!」
「ちょっとマルム、落ち着けって」
「バカタンタラ、この匂いは追求せなあかん!」
「騒がしくてごめんねラーシャさん、居るならあけてくれないかなー?」
何やら外で『大声』で喋りかけてくる男女の声がキッチンまで響いてくる。
どうやら防音性は低いようである。
「誰か来たみたいですけど?」
「……しょうがない、ちょっと開けてくるから用意を続けてくれ」
「はいよ」
名残惜しそうにキッチンを出ていくララをよそに、他にもNPCが居るんだなと認識した瞬間であった。




