041.パトロネスアンデット(2)
はっきりと俺の声が空間内に響き渡り、ずきりと全身が軋む感じを覚える。
まただ。ラーシャさんが助けに来る前まではまだ感覚はゲームだった、が。
「らぁっぁ」
手に握る大斧の重量をしっかりと感じながら未だ陣形が乱れたままのフランケンに向かい振りかぶった。
ガンッ、と刃はフランケンの肩に弾かれると手にジィンとしびれが伝わる。
鎧を着たアンデットウォリアー以上にの硬さに驚きつつも、俺の攻撃で少し怯んだところを見逃さなかったラーシャさんが素手でフランケンの顔面を掴むとそのまま地面へ叩きつけていた。
「ぎぃ」
そんなフランケンの悲鳴が大地の中から漏れ出ると同時に光の粒となり消滅した。
ドロップを素早く回収したラーシャさんが拾ったソレを投げ渡してくる。
宙を舞うソレの柄を掴むと、黄金に輝く刃に思わず目を奪われる。
いや、そもそも回転しながら飛んできたコレは下手をしたら俺がザックリやられてたからね?
「ありがたくっ」
つかわせてもらう! 大斧をアイテムボックスへ収納すると、受け取った剣で体勢をこちらにやっと向けようとしていたアンデットウォリアーの体を一閃した。
シュン、と輝きを放ちながら剣は鎧を貫通していた。
一撃で葬り去った威力に驚きつつも、次の敵とばかりに剣を横殴りに振るうともう一体のアンデットウォリアーが盾でガードを試みていた。が、そんな行為も虚しく俺の剣は盾ごと相手を貫く。
「二体っ」
カウントを口に出した瞬間だった。切り裂いた敵が消滅する奥から残る一体のアンデットウォリアーが剣を突き出していた。
ぐちゃり、と嫌な音が体から発せられる。
あまりの激痛に、飛びのくと同時に刺された右肩をおもいっきり掴んで息を荒らげる。
イタイ、痛い痛い痛いイタイッ。
そうだ、この感覚である。
ゲームとは思えない、リアルすぎる状況に先ほどまでの意気込みが消え失せそうになった。
「まだ終わってないわよ!」
思いっきり回し蹴りで腹を蹴られると、もぅ体中が痛みという名の悲鳴をあげ状況を理解する事も出来ないまま地面を転がっていた。
肩に受けた攻撃はクリティカル判定で一気に体力を半分削り、今の蹴りと大地を転げたおかげで残る体力は2になっていた。
痛くて、怖くて、それでも俺は考えずにはいられなかった。
俺、死んでしまうのか……?




