039.タイムアウト(4)
予想が正しければ、今の状況打破には時間対策OPがついた装備が必須だ。
前回、時間逆行の影響を受けてからログアウトした結果、超空腹状態での帰還だった。そしてログインし直したらキャラクターも元に戻っていたし、状態異常も解けていた。
それが今回に限ってはリアルに戻ってすら影響を受けている、としか思えない状況なのだ。
打開するには、ラーシャさんが言っていたまだみぬOP、時間対策系を得るしかすがる先は無いのだ。
大斧に、うさぎアイテムを持つと再びヘルダンジョンへと再臨する。
「なっ……」
思わず声が漏れる。
大きな空間の中央に降り立った俺は、周囲を見渡す。
灯りは十分にあり、壁にみえている地下へと続く階段に不安を覚える。
全く同じダンジョンに降り立つ可能性はいくらほどだっただろうか? 同時接続者が何十万もいるRLの世界で、報告はたったの3件という極めて薄い確率。
それを、このタイミングで引いた? いや、厳密には最初から階段は出現していなかったため、ある意味同じとは言えないだろう。ギミックが解放状態、つまるところの続き状態だと判断する。
少し様子を見るも、敵のポップも確認出来ず俺は一つしかない可能性に苦悩する。
「まじかよ……」
思わず、階段まで駆けると部屋に戻りログアウトを行う。
そして再び再臨。
「勘弁してくれ」
泣き言しか出てこなかった。
三度再臨。
ようするに、俺はこのヘルダンジョンを攻略するしか手が無いという事になる。
再び戻り、俺は普通のダンジョンへ行けば何か変わるか!? と通常のダンジョンへ続く扉を通ろうとするが、始まりの扉がビクともせずこちらも断念。
四度目の再臨にて、いよいよ俺はヘルダンジョン第二層へと降りる選択しか残されていなかった。
「くそ、もうヤケだ!」
完全に八方ふさがりで、道は一つしかない。泣き言だけじゃ何も進まない、ならば行動するしかないんだ。ああ、俺はいつだってみっともなく泣いてわめいて、それでも行動を続けてきたんだ。
だから。
意を決し、不安も何もかもかなぐり捨て第二階層へと歩を進めた。




