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035.ウィルテイクユゥ(12)
結局、師匠から与えられた2つの課題をミウラさん、下郎の二人から教授されたわけだが、本当にこんな事でヘルを突破できるというのだろうか。
ミウラさんからは時間対策として、体内時計を。
下郎からは仲間を装い背後からのバックスタブ、そのまま二人目も隙をついてあっという間に倒して見せた。ここから学べといわれたのは、戦闘技術のことなのか? 卑怯な手を使ってでもPvPでは勝てということなのだろうか。
とにかく、下郎のやるような卑怯で、下劣な事はしたいと一切思わなかった。
夜が更け、桃も眠りについた頃。
俺はRLの世界へと没入していた。
頼りになる相棒は今はいないが、今回はリベンジマッチである。
『二階層、突破してやる』
ログには現実の1分毎に経過時間の送信がくるようにしているし、体内時計もバッチリ同期が出来ている。後は実際に、第二層で今の俺がどれだけ対応できるか確認するだけである。
あわよくば、二階層の突破もしたいところだ。
これがとてつもなく長い旅路の始まりとは夢にも思わなかった、というのは言うまでもない。
俺の孤独な旅は今、開幕した。




