024.ウィルテイクユゥ(1)
明るくなった部屋の中は、実に女の子女の子したキラキラ装飾がなされた部屋だった。
中央には白色の丸テーブルに、黄色と、青色のビーズクッションが置かれていた。
壁紙は淡いピンク色で、空のガラスコップとミネラルウォーターのペットボトルが置いてあった。
ゴミ箱なんか、熊のイラストがかかれた蓋がついてることに今更ながら気が付く。
「ねぇ、この人誰?」
現実逃避中の俺を指さし確認してくる幼女は、中学生だろうか? 幼女化した桜のキャラクターに瓜二つである。
「この人は……友達よっ!」
「「っっ!?」」
俺と幼女は二人して息をのむ。
まぁ、友達で間違ってない。そもそもお互いの事を全然知らない上に、ゲーム内での繋がりもまだまだ薄いとさえいえる程に出会って間もないのだ。
「お姉ちゃん、男の子の友達なんか居たんだ……そっか」
何がそっか、なんだろう? いや、確か女子高通いといっていたから男友達が居ないのか?
「もっとカッコいいのがタイプだと思ってたのに、予想外!」
「こーら、そんな事言わない!」
おおう、好みのタイプは俺も知っているから言わないでくれ。
「えっと、俺は」
「イイは黙ってて、ね?」
未だにキャラネームで呼びますか桜さん。流石に本名名乗るべきなのではと思ったが、この幼女は俺をイイという名だと認識した。
「イイはね、うちを助けてくれたんやで?」
「助けたの?」
「そう、普通ならありえない連続の偶然から、本当なら絶対にダメな壁をいくつも破ってうちを助けてくれたごっつ凄い王子様やで!」
やめてくれ、俺はあの時何も出来ないで目を瞑ってただけなんだ……。
「へぇ、お姉ちゃんが認めてるって、凄いね」
「それにね? なんとイイはスイーツたこ焼きプレミアムの専売券を入手出来る男なんやで!」
「ふぁーーー!」
俺への視線が一気にキラキラしたものに変わると、女の子は部屋から出ていった。
「ママー!」
まさかの親元へ駆け込む程とは。
「あぁもう! 桃ちゃんまって!」
ほぅ、なるほど。桃ちゃんというのか、あの子は。
しかし、下着姿(ケープは羽織ってた)で桜まで部屋から出ていき取り残された俺は正座のまま待機する事しか出来なかった。
「俺、どないせぇいうねん……」




