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209.真ラストダンジョン(20)

 道幅も広くないことから、二人一組での隊列を組んだ。

 初手はジャンとジェのチャイナ服コンビ。鉄扇に仕込まれているという毒を最初に打ち込む算段で、打ち込んだら次組へ戦闘を引き渡し最後尾に居るEmmaに回復を受けるというガチガチの戦法を取る事にしている。


 次組はカタリナと、とろろ昆布コンビのペアが続く。

 カタリナもとろろ昆布も、どちらも機動力に長けているが故に、回避行動をメインに毒を継続させる魂胆だ。敵の二体が私ですら強敵と認める相手なのだ、絡め手を使うのは当たり前である。


 そして被弾したら即、AIと紅と入れ替わり回復を受ける。


 ここまでくれば、遠距離攻撃を持つ二人に攻撃してもらい、フィニッシュを想定。

 私? とどめを刺せなかった場合、単独でヤラセテもらうわ。春一番カタナが風属性という事もあり、誰かと組んで振り回せる得物ではないと、試し振りで理解している。


 そんな訳で、再びダンジョンを進みだす私達。

 今回は全員がデバフ対策をしている為、隊列を組んだ状態で慎重に進む。


 そして直線に長い道の端と端で、私たちは再会を果たす。


「それじゃ、私達からいくね」

「一泡吹かせてくる」


 文字通り、毒で泡を吹かせるという意味で言っているのだろうか。

 そんな考察をしているうちに、ジャンとジェは強敵との戦闘における役割、毒を打ち込む事だけに意識して駆け出した。一人は純粋な戦闘力に加え再生能力を保持、もう一人は絶対氷壁を扱うなどファンタジーな魔法系の厄介者だという情報は共有している。


「ん、なんだアイツら」

「さぁ。敵かしら、殺る?」

「そうだな。突然消えたアイツの事を知ってるかもだしな、一人だけ残して全部やっちまおう」

「ん。まぁ救世主様があんなブスと知り合いな訳ない」

「ハッハ! 違いないね、殺気振りまくような奴らに殺されるタマじゃないけど、あんなのをアイツに近寄らせたくねぇし!」

「それじゃ、任せた」

「相変わらず冷たいねぇ」


 私達が距離を詰めている間に、そんな会話が奥から聞こえてくる。

 そして再び視線が交差すると、人の身長を優に超える巨大な斧を片手に笑みを浮かべ歩き出す敵。


 ジャンがチャイナ服をなびかせながら、天井すれすれまで飛び上がると畳んだ状態の鉄扇を振りかぶった。

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